バフェット太郎です。

トルコリラの暴落は新興国株クラスタにとって対岸の火事ではないかもしれません。

【米ドル指数と新興国株指数の推移:2017ー2018】
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2017年1月以降の米ドル指数と新興国株指数(EEM)の推移を眺めると、概ね相関関係になっていることがわかります。この相関関係は17年以前からも見られていたのですが、17年以降は特に相関関係が強くなっており、投資家らはドル高と新興国株安をセットで考えているというわけです。

なぜドル高になると新興国株が売られるのかというと、ドル高はドル建て債務を抱える新興国の政府や企業の返済額を膨張させ、デフォルトリスクを高めることに他ならないためです。

また、ドル高の要因としてFRB(米連邦準備制度理事会)による利上げが挙げられます。通常、世界の投資マネーは相対的に利回りの低い所から高い所への流れる傾向にあるため、米国の金利が上昇する局面ではドル高になりやすいのです。

従って、米国が段階的な利上げを実施する状況ではますますドル高が進み、新興国株安が続く公算が大きいのです。

では、新興諸国が自国通貨や株価の下落を止めるにはどうしたらいいでしょうか。結論から言えば利上げしか方法はありません。また、単純に利上げをするだけではなく、高い金利を維持することを確約するなどフォワードガイダンス(将来の政策金利を約束すること)が必要です。

しかし、多くの新興諸国は米国ほど経済が好調ではないため、なかなか十分な利上げを実施することができないでいます。特にトルコは金利を引き下げようとするなど利上げとは真逆の方針であることからデフォルトの危機に陥ろうとしています。

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【米ドル/トルコリラ:2017ー2018】
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為替は「1ドル=5リラ」の壁を突破して最安値を更新中です。リラが暴落していることでトルコのエルドアン大統領は国民に対して手持ちのドルやユーロをリラと交換するよう呼びかけやたり準備預金のルールを変更したりしていますが、投資家は不十分と判断してトルコ資産を投げ売りしています。

また、エルドアン大統領が中銀に対して圧力をかけていることも懸念されています。エルドアン大統領はかねてから金利は引き下げるべきと公言しており、本来利上げをすべきところで利下げをしてしまえば、さらに資金が流出してしまいかねません。

こうしたことからトルコはデフォルトリスクが急速に高まっており、IMF(国際通貨基金)による救済観測も浮上しています。

IMFによるARA(外貨準備高の適正水準)の基準に照らすと、トルコのARAは35%程度と適正規模「100~150%」を大きく下回るなど危機的状況にあります。ちなみに、タイバーツの暴落に端を発したアジア通期危機の直前のタイのARAは75%程度だったことから、トルコは当時のタイよりもひどい状況にあるということです。

将来、IMFがトルコを救済することになれば、救済条件として高金利の維持を強制すると思います。しかし、それはエルドアン大統領の方針とは真逆であることから、救済をスムーズに受け入れるとも限りません。

従って、トルコが好転する材料がほとんどないことから、トルコを中心に新興国市場は弱気相場が続く公算が大きいです。

グッドラック。

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