バフェット太郎です。

ウォールストリート・ジャーナルによれば、先月、米国株ETFから過去最高となる250億ドル(約2兆7500億円)もの投資資金が流出したとのこと。流出超過となるのは約一年ぶりのことで、投資家らが政府機関の一部閉鎖や米中貿易摩擦を巡って、先行き見通しを懸念していることがわかります。

足元では、予想を上回る企業の四半期決算や、FRBのパウエル議長が利上げの打ち止めを示唆したことなどを好感して相場が回復していますが、中国の景気減速に対する懸念が再燃していることから、投資家らは依然として警戒感を強めています。ちなみに、昨年1月は米国株ETFに約310億ドルもの投資資金が流入していました。

さて、投資の世界では「(個人投資家は)S&P500種指数に連動するETFやインデックスファンドに投資して配当を再投資しろ」というのが最適解のひとつになっているので、個人投資家は投資をする際に、企業分析をする必要もなければ、相場のタイミングを占う必要もなく、誰もが簡単に、賢明な資産運用を始めることができます。

しかし、そんなに簡単なことをどうして誰もやらないのでしょうか。結論から言えば、S&P500ETFに投資して配当を再投資し続けるということは、言うほど簡単なことではないからです。

昨年末、FANG銘柄をはじめとしたハイテク大型株が軒並み暴落して、ブームの終焉を予感させました。そもそもS&P500種指数は時価総額加重平均型指数といって、時価総額の高い大型株の割合が大きくなる傾向があるので、大型ハイテク株が暴落すれば、S&P500種指数も連動して値下がりします。

仮に大型ハイテク株が長期で低迷することになれば、S&P500ETFも長期で伸び悩む一方、それ以外のETFがS&P500ETFをアウトパフォームし続けることが予想されます。人は、過去数年間続いたことが永遠に続くものだと錯覚するものですからが、仮にS&P500ETFがその他のETFにアンダーパフォームし続ければ、誰もS&P500ETFに配当を再投資し続けようとは考えられなくなり、別のETFに乗り換えようとします。

事実、2000年代、多くの投資家らがS&P500ETFを手放し、新興国株ETFに乗り換えていました。これは、S&P500種指数の配当再投資を含めたトータルリターンがドットコムバブル崩壊と金融危機を受けて、-9.1%安と悲惨なパフォーマンスとなったためです。
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一方で、新興国株ETFのiシェアーズ・エマージング・マーケット・ETF(EEM)の同期間の投資リターンは配当を含めない値上がり益だけで+168.3%もありました。当時、個人投資家は成熟した米国株に投資するのではなく、成長著しい新興国株に投資すべきとの論調が強まっていました。
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どれだけS&P500ETFが長期的にはリターンが高かったとしても、10年間もパフォーマンスが悪ければ、多くの投資家はS&P500ETFに投資し、配当を再投資し続けることができず、別の何かに投資してしまうものです。

また、本来なら賢明な資産運用に必要なS&P500ETFも、弱気相場では投機的に使われるため、指数に採用されている銘柄はバリュエーションを無視して売られやすくなります。そして、ボラティリティ(変動率)が大きくなればなるほど投資家のリスク許容度を超えてしまうので、さらに投機的な売りの対象になります。

こうしたことから、S&P500ETFに投資して配当を再投資し続けることは、言うほど簡単なことではなく、愚直に続けられる忍耐強さと、他の投資対象に浮気しない覚悟が必要だということがわかります。

グッドラック。

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