バフェット太郎です。

株式投資をしていれば、誰もが「あの銘柄を10年前に仕込んでおけば今頃億り人だったのに…」と悔んだりするものです。しかし、これは「生存バイアス」といって、たまたま生き残っているデータだけを抜き取って、都合の良い解釈をしているにすぎないことを指します。

たとえば、97年5月にアマゾン・ドットコム(AMZN)がナスダック市場に上場したわけですが、当時、アマゾンに1万ドル投資していれば、今頃1000万ドルになっていました。

すると、多くの投資家は「あの時アマゾンに投資していれば…」と悔やむわけですけれども、アマゾンの株価が過去に1日に6%急落したケースが約200回あり、3日間で15%下げたケースも約100回あったこと、そして、上場後20年間で20%超下げる調整局面が16回あったことなどを考えると、今日まで買い持ちし続けることは不可能だということがわかります。ちなみに、00年のドットコムバブル崩壊では直近の高値から95%安、08年の金融危機では同64%安と大暴落していました。

そのため、日頃から損切りルールを徹底して守っているグロース株投資家では、到底買い持ちすることなどできなかったことを意味するので「アマゾンに投資していれば、今頃資産は1000倍になっていた」というのは”間違った投資法”を続けなければ得られない成果だったということになります。
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しかし、90年代後半、ナスダック市場に将来有望0銘柄がこぞって新規上場を果たしたこと、そしてその多くが淘汰されたことを考えると、その中からアマゾンだけを選び出し、長期で保有し続けることが非現実的なことくらい誰にでもわかると思います。ちなみに、アマゾンの株高要因はクラウド事業への期待感からなのですが、90年代後半にクラウド事業で成功するなどということを予想できた人は、ジェフ・ベゾスCEOを含め一人もいません。

つまり、グロース株へのバイ&ホールドを実践する場合、数多のグロース株の中で将来値上がりする銘柄だけを「運よく」選び出し、予想を下回る四半期決算を出しても、あるいは株価が大暴落しても、無心で保有し続ける強固な忍耐力がなければ成功しないのです。

当然、そのような運任せの投資でうまくいく投資家はほとんどおらず、再現性がないと言えます。大抵の場合、複数のグロース株に分散投資した結果、暴落局面で持ち株のほとんどを手放したり、あるいはバイ&ホールドを貫いたとしても、保有する一握りの銘柄が大きく値上がりする一方、多くの銘柄が淘汰されることで全体のパフォーマンスを相殺し、市場平均並みのパフォーマンスしか期待できないなんてことになるのがオチです。

そのため、一獲千金を狙ったグロース株への長期投資は再現性に乏しく、いずれかの時点で持ち株を手放さなければならなくなります。しかし、タイミングを見計らった売買を繰り返せば、多くの場合で手数料と税金分損するだけなので、長期的なパフォーマンスは期待できず、賢明とは到底言えません。

グッドラック。

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