バフェット太郎です。

米労働省が発表した7月の米JOLT求職(求人件数)は予想731万1000件に対して、結果721万7000件と予想を下回りました。また、6月は724万8000件と速報値の734万8000件から10万件下方修正されました。

求人件数は19年1月の762万5000件をピークに減少傾向が続いており、米労働市場が減速していることがわかります。

【米JOLT求職:2000.12-2019.7】
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そもそも、JOLT求職は労働市場における労働需給を把握するための指標です。求人件数が増加していれば労働市場における労働者の需要が高まっていることを意味する一方、反対に減少していれば労働者の需要が低下していることを意味します。つまり、現在は労働者の需要が低下していることを示唆しているわけです。

また、過去の求人件数の推移を眺めると、求人件数の減少後に経済がリセッション(景気後退)入りしていることがわかります。ちなみに、前回のリセッション(2007年12月~2009年6月)では求人件数が2007年2月にピークをつけてそれから10カ月後にリセッション入りしたため、同じ時間軸を辿るのであれば今回のリセッションは2019年11月頃と予想することができます。

【セクター別求人件数】
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セクター別の求人件数は以下の通りでした。

「建設業」は37万3000件と、前月の33万1000件から4万2000件増加しました。

「製造業」は52万2000件と、前月の51万5000件から7000件増加しました。

「卸売業」は15万8000件と、前月の21万3000件から5万5000件減少しました。

「小売業」は86万5000件と、前月の86万3000件から2000件増加しました。

「輸送業・倉庫業」は32万件と、前月の31万4000件から6000件増加しました。

「金融・保険業」は25万1000件と、前月の26万件から9000件減少しました。

「卸売業」や「金融・保険業」など一部のセクターが求人件数全体の数字を押し下げました。

また、「製造業」の求人件数は増加傾向にあるものの、米ISM製造製造業景況指数は49.1と、景気拡大と縮小の分かれ目となる50を三年ぶりに割り込んだことを考えると、製造業の先行き見通しは暗いです。

【地域別:製造業の雇用者数増減】
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地域別の製造業雇用者数の増減を眺めると、ウィスコンシン州やペンシルベニア州でそれぞれ4000件、8300件減少しました。

この二つの州はスイングステート(揺れ動く州)と言われ、大統領選挙の激戦区であることから、この二つの州で製造業の雇用が減少していることは、来年の大統領選挙で再選を狙っているトランプ大統領にとって向かい風となります。

ちなみに、スイングステートはこの二つの州のほかにフロリダ州、オハイオ州、ミシガン州、ノースカロライナ州、バージニア州がありますが、バージニア州を除けば比較的底堅さを示しています。

ただし、米中貿易戦争の激化に伴い製造業の雇用がさらに悪化するようなら、トランプ大統領の再選が困難になることが予想されます。

そのため、市場参加者の中にはトランプ政権が米中貿易戦争の激化を和らげると期待する見方があるものの、トランプ大統領が米中貿易戦争は必然だったとした上で、「米中貿易戦争は経済よりもずっと重要で、誰かがやらなければならなかった」としたことから、貿易戦争の激化は止まりそうにありません。

すなわち、製造業を中心に雇用の悪化に歯止めがかからないことが予想されるわけです。

グッドラック。

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