バフェット太郎です。

「タバコ株はクソ株」そんな声が聞こえる中、アルトリア・グループ(MO)が米国で「iQOS(アイコス)」の発売をスタートさせました。はじめに断っておきますが、「iQOS」は加熱式タバコであり、電子タバコではありません。

電子タバコを巡っては、電子タバコ関連の疾患と確認されたか、その可能性が高いとされる肺疾患の症例が世界中で報告されており、その数は1080件、死亡例18件が報告されています。

そのため、米国ではトランプ大統領が電子タバコの販売禁止を検討しているほか、ウォルマート(WMT)は米国店舗でのすべての電子タバコの販売停止を決定しています。

こうした逆風の中、アルトリアが出資した電子タバコ最大手のジュール・ラブズの評価額は、従来の380億ドルから240億ドルと、三分の一以上減少していると見られており、それが株価低迷の主な原因となっています。

さて、話を戻すと加熱式タバコ「iQOS」を巡っては、4月にFDA(米食品医薬品局)が米国での販売を許可しており、今秋に発売することが予定されていました。

そもそも「iQOS」はアルトリアが10年以上も前に開発を始めていたのですが、その後米国で紙巻タバコを巡る訴訟リスクが高まったことで、海外部門をフィリップ・モリス・インターナショナル(PM)としてスピンオフ(分離・独立)し、開発部門もフィリップ・モリスに移りました。

その後、2014年に日本(名古屋)を皮切りに世界49カ国で「iQOS」発売され、ついに米国に上陸したわけです。

アルトリアによれば、米国の喫煙者数は3400万人いるとされていて、そのうち約2000万人が紙巻きタバコに変わるより健康リスクの低い代替品を探していると試算しています。「iQOS」はこの2000万人をターゲットにしており、他社に先駆けて加熱式タバコを発売することから、米国の巨大市場を独占することができます。

とはいえ、当局の監視の目が厳しいことから、アイコス・ショップではスタッフが入り口に立って、身分証明書をスキャン、さらに喫煙の有無を尋ねます。そこで21歳未満の場合や喫煙経験がない場合はお店に入ることができません。あくまで喫煙者の代替品というわけです。

伝統的な紙巻タバコを巡っては、喫煙者数が予想以上に減少していることから、業績悪化が懸念されています。これまでアルトリアをはじめとしたタバコ大手は値上げすることで販売数量の落ち込みを相殺してきましたが、消費者はいくらでも値上げに耐えれるわけではありません。

そのため、今後は加熱式タバコや電子タバコ、マリファナなど新たな収益源で補いつつ、コストを削減することで利益を確保する必要があります。言い方を変えれば、「喫煙者数が減少するからタバコ株はダメだ」と安易に決めつけることはできないということです。

【アルトリアのEPS推移】
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事実、喫煙者数が減少する中、アルトリアのEPS(一株当たりの利益)は増加傾向にあります。通期のEPS見通しは4.15~4.27ドルと予想されており、アナリストらは4.18ドルと予想しています。これは10年前から二倍も利益が増えていることを意味します。

【アルトリアの営業キャッシュフロー】
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また、本業の儲けを表す営業キャッシュフローは過去最高を更新しています。

つまり、喫煙者数の減少はタバコ会社にとって逆風ではあるものの、それが業績に打撃を与えるほどではなく、まして増益傾向を止めるほどではないということです。

従って、「喫煙者数が減少しているからタバコ株はダメだ」と主張するのは情弱であり、株主は株価が低迷している今こそ愚直に配当を再投資し、次の上昇相場に備えることが賢明な選択です。

グッドラック。

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