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バフェット太郎です。

孫正義氏率いる投資会社ソフトバンクグループが、共用オフィス「ウィーワーク」を運営するウィーカンパニーに対して新たに50億ドルを支援するほか、30億ドルを上限としてウィーワーク株の公開買い付けを行うと発表しました。

また、来年予定していた15億ドル相当の資本注入の前倒しを含めると、支援額は最大95億ドルにも上ります。

そして、ニューマン会長の後任にはマルセロ・クラウレCOOが就任することも発表されました。しかし、クラウレ氏は2014年にソフトバンクグループ傘下で通信大手のスプリント(S)のCEOに就任するも、結果を残すことができなかったので、この人事に落胆した人は多いです。

【スプリントのキャッシュフロー推移】
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本業の儲けを表す営業キャッシュフローは2014年以降大きく増加しましたが、これは莫大な投資支出によるものです。そのため、フリーキャッシュフロー(営業CF+投資支出)はマイナスのままで、現金の流出に歯止めがかかっていません。

さて、ウィーワークに話を戻すと同社は依然としてキャッシュの燃焼が激しく、10月末にも倒産の危機を迎えていたことから、ソフトバンクグループによるドタバタの救済劇となりました。
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ウィーワークの四半期業績の推移を眺めると、売上高の増加に伴い営業赤字も増えていることがわかります。

ソフトバンクグループによるウィーワークへの出資比率が80%に高まったことで、同社は経営権を獲得しました。しかし、議決権は過半数に満たないことからウィーワークの業績は連結決算の対象とはなりません。そのため、ウィーワークが莫大な赤字決算を計上してもソフトバンクグループの連結決算には影響を与えません。

ただし、やっていることはウォーワークというクソ株のナンピン買いにほかならないので楽観はできません。事実、ウォーワークの時価評価額は当初470億ドルと見られていましたが、たった数ヶ月のうちに80億ドルまで減少してしまっています。

ソフトバンクがウィーワークの株式80%分(64億ドル)に対して、これまで135億ドル投じたことを考えれば、71億ドルもの大損をしたことになります。また、この含み損はさらに拡大する公算が大きいです。

そもそもウィーワークは「成長」という果実を手に入れるために「血を流す」ことを犠牲にしました。結果、売上高が大きく増えて営業赤字が拡大しました。しかし、このまま血を流し続ければ成長どころか死に至ってしまうため、成長することを止めなければなりません。

事実、新経営陣は成長よりも利益を優先する計画をまとめる方針を示しています。

しかし、成長が期待できない新興株になんの魅力もありません。たとえば、ロンドンに上場する共有オフィス賃貸会社のIWG社は堅実な経営で売上高はウィーワークを三割上回っているものの、時価総額はわずか45億ドルしかありません。つまり、ウィーワークが利益を優先して堅実な経営をすれば、時価評価額が40億ドルを下回りかねないのです。

さらに、ウィーワークの事業のリスクも投資家の懸念になりつつあります。なぜなら、共有オフィス「ウィーワーク」は簡単に解約することができてしまうため、景気悪化に非常に弱い事業モデルだからです。

たとえば、企業にとって人件費同様に賃料は重くのしかかるため、景気後退し業績が振るわなければオフィスの解約が殺到しかねません。すると、現金の燃焼に歯止めがかからず、ソフトバンクグループはさらなる支援に迫られかねないのです。

情弱ほど孫正義氏の投資判断は素晴らしいと信じてやみませんが、彼の投資実績が素晴らしかったのはドットコムバブル前に投資したものばかりで、それ以降に投資したもので成功したものはほとんどありません。つまり時代の追い風を受けただけなのです。

従って、孫正義氏が投資の神様でも天才でもないことを考えれば、ソフトバンクグループの凋落はこれからも続く公算が大きく、株主は地獄を見ると思います。

グッドラック。

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