バフェット太郎です。

15日のNYダウ株式市場は前日比+90.55ドル(+0.31%)高の2万9030.22ドルと、史上初めて2万9000ドル台に乗せて取引を終えました。上昇した主な要因は、米中両国が貿易交渉「第1段階」の合意に署名したことで、1年以上にわたって市場の懸念材料となってきた貿易戦争が一時休戦となったためです。

「第1段階」の合意文書では、中国が向こう2年で2000億ドル(約22兆円)相当の米国製品・サービスを購入する一方、中国製品に対して予定されていた関税引き上げは見送ることがまとまりました。

合意を受けて中国は対米輸入を増やさなければならないわけですが、今回の合意内容は中国にとってかなり困難なものになります。

【中国の輸入拡大規模(単位:億ドル)】
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中国の向こう2年間の輸入拡大規模の内訳は、「工業製品」が777億ドル、「エネルギー」524億ドル、「サービス」379億ドル、「農産物」320億ドルの計2000億ドルとなっています。

中国は2020年に767億ドル、2021年1233億ドル分輸入額が増やさなければなりません。

2017年の中国の対米輸入額は1863億ドルですから、2020年はこれが2630億ドルになると見られており、およそ40%増加することを意味します。また、2021年は3096億ドルになる見通しで、これは2017年比で67%増加することを意味します。

【中国の対米輸入額(単位10億ドル)】
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(出所:BEA Capital Economics

中国の対米輸入額の推移を眺めると、今回の輸入拡大規模がいかに大きいかがわかります。ちなみに、今回の合意文書には、合意内容を履行しているか監視する制度が盛り込まれていて、「実行できなければ適切な対抗措置を執る」とされています。

つまり、今回の貿易交渉「第1段階」の合意は米中貿易戦争の終結ではなく、一時的な休戦でしかないということです。(トランプ大統領は11月に米大統領選挙を控えているため、貿易戦争を激化させて株式市場を動揺させたくないという思惑があります。)

事実、米政権は制裁関税の「一部」を引き下げるものの、中国製品全体に課す関税率は高止まりしているほか、ハイテク企業への禁輸措置も残っています。

この「一部」とは、制裁関税第4弾(1200億ドル分)の関税率を15%から7.5%に引き下げるというもので、制裁関税第1~3弾(2500億ドル分)は25%の関税率を堅持したままです。そしてこの制裁対象には産業ロボットや半導体などが含まれていることから、米国は中国のハイテク技術の追い上げを強く警戒していることがわかります。また、ファーフェイなどへの禁輸措置も解いていません。

中国の内需が低迷する中で、対米輸入額が目標数値に達するのはほぼ不可能であることを考えると、11月の大統領選挙以降、米中貿易戦争が激化することはほぼ確実で、株式市場への警戒感も高まります。

そのため、投資家は将来のリスクに備えて、金やビットコインなどの安全資産に純資産の一部を振り分けておいた方が賢明です。

グッドラック。





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