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バフェット太郎です。

投資の世界には完璧な法則は存在しないので、「最強の投資法を会得した」と考えるのは大きな間違いです。大抵の場合、そうした思い込みの後に起こる新たな事象が、その「最強の投資法」を台無しにするものです。

たとえば、著名投資家ウォーレン・バフェットの師であるベンジャミン・グレアムは最初に立ち上げた投資パートナーシップ、グレアム・コーポレーションで、裁定取引を駆使した投資法、つまり、割安な銘柄を買うと同時に、割高な銘柄を売るという技法で大きなリターンを獲得しました。

当時、グレアムのファンドの資産額45万ドルだったものの、運用開始からわずか三年で250万ドルと5倍以上に膨れ上がり、その成功はウォール街中に伝わりました。

しかし、1929年になると世界恐慌がウォール街を襲い、米国株式市場が大暴落すると、グレアムの投資成績はダウ平均を下回りました。

グレアムは割安な銘柄に投資をする際、「安全域のある銘柄」、つまり、本質的価値を大幅に下回っている銘柄に投資することで、ポートフォリオの耐性を強くしていたはずでしたが、どれだけ安全域があろうとも、恐慌の中ではほとんど意味がなかったのです。

また、グレアムは1930年に米国株式市場は最悪期を脱したと考え、全資産を投じて割安な銘柄の信用買いに挑みました。結果、株式市場は大暴落し、割安な銘柄がさらに割安になってしまったことで、グレアムは資産の70%を失ってしまいました。

このように、グレアム流のバリュー投資は、恐慌の中ではほとんど通用しないほか、割安な銘柄はさらに割安になるなど、短期的な株価の変動を回避することはできないのです。

そして、グレアムは晩年のインタビューで「効率的市場仮説」の支持者となります。「効率的市場仮説」とは、「株価はあらゆる情報を瞬時に織り込むので、誰も市場を出し抜くことはできない」という考え方です。

つまり、株式投資においてバリューは重要な要素であるものの、決して完璧な投資法とは言えず、暴落は回避できないということです。

グレアムが素晴らしいパフォーマンスを実現した一方で、完璧な投資法を見つけられなかったほか、暴落は回避できなかったことから、我々個人投資家もグレアム同様に、一時的に素晴らしいパフォーマンスを実現することができる可能性があるものの、それは決して完璧な投資法とは言えず、暴落を回避することなどできないと考えるのが自然です。

従って、我々は株式市場の短期的な変動で痛い目に遭いながらも、S&P500インデックスファンドや一握りの優良株に愚直に投資し続ける忍耐強さが必要です。

グッドラック。

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