バフェット太郎です。
新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)により、米経済が危機的な状況に陥る中、FRBは無制限の量的緩和政策に踏み切るなど、規格外の金融緩和に動いています。
そのため、中には「ドルが大暴落してハイパーインフレになる」と主張している人がいますが、結論から言えば、そのようなことが起こる兆候は見られません。
ただし、米経済の低迷は予想外に長期化する可能性があることを考えると、投資家は二番底を警戒するなど、忍耐強さが求められます。
★★★
歴史を振り返ると、今から約674年前の1346年に、ヨーロッパでペスト(黒死病)が大流行したわけですが、当時、人口の3分の1時以上が死亡するなど、欧州経済は大打撃を受けました。
しかし、皮肉なことに人口が激減したことで、人々の実質賃金が上昇したほか消費の拡大したこと、さらに産業革命が始まったことで欧州経済は飛躍的な成長を遂げました。
とはいえ、今回も過去と同じように賃金が上昇して、飛躍的な経済成長が始まるのかというと、そうした兆しは見えません。そもそも、新型コロナウイルスによる現役世代の死者数は限定的ですし、インフレの兆候も見られないからです。
そのため、新型コロナウイルスの感染危機収束後も、米経済はしばらく低迷する可能性があります。
★★★
新型コロナウイルスによる経済への影響は、当初こそ「限定的」だと見られていましたが、その後急速に世界経済危機へと発展し、人々の生活を大きく変えました。
とりわけ労働市場が急速に悪化していて、過去5週間の米国の失業保険申請件数は2600万人を超えるなど、米労働人口1億6000万人のうちおよそ16%が失業しています。
セントルイス地区連銀によれば、今後失業者はさらに増え、合計5000万人近くが失業し、失業率は32%に達するなど、1930年代の世界恐慌を超える大不況に突入することが予想されています。
ちなみに、世界恐慌の失業率は最大25%弱まで上昇しました。当時、イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、「なぜ不況が起こるのか?」そして「経済を元の状態に戻すにはどうすればいいのか」ということについて、『雇用・利子および貨幣の一般理論』で、「景気回復に最も重要な要素は『需要』である」として、政府による経済への積極的な介入を呼びかけていました。
需要を増やすには所得が必要なので、たとえば2兆ドルの国債を発行して2兆ドルの公共事業をすれば、国民所得は2兆ドル増加します。ちなみにケインズはこの公共事業の中身は問題なくて、「穴を掘ってそれをまた埋めるような仕事でも良い」なんて言っています。
こうしたケインズの理論を「有効需要理論」と言ったりして、米国はまさにそれを実践しようとしています。
たとえば、米国では景気刺激策の一環として、国民一人当たり1200ドル(子ども500ドル)の現金支給をしているほか、企業に対しては従業員を解雇しないことを条件に賃金の肩代わりをすることを約束しています。
とはいえ、「政府が国民にお金をばら撒き続ければ、ドルは大暴落し、米政府が破綻してしまうのでは?」と心配している人も少なくありません。実際、2008年の金融危機の時も「ドルの終焉」などと言われていました。
しかし、人と国は違うので、そうした心配をする必要はありません。つまり、政府は経済危機など困難な局面では国債をどんどん発行して景気を下支えすればいいのです。
もちろん、際限のない国債の発行は通貨の価値を下げ、長期的にはインフレがもたらされますが、ケインズの言葉を借りれば「長期的には我々はみな死んでいる」のです。
とはいえ、この言葉は何も将来に無責任な発言をしたわけではなくて、「長期的に見ればインフレという問題は避けられないが、だからと言って目先の問題から逃げて良いというわけではなく、目先の経済危機は政府による積極的な介入で解決しつつ、インフレが引き起こるまでには時間があるので、それまでに対策を講じれば良い」と主張しているのです。
このように、新型コロナウイルスの感染危機を巡って、政府や中央銀行にできることのほとんどは実行されつつあります。とはいえ、政府による積極的な介入だけでは、米経済は回復しません。
なぜなら、ロックダウンが解除されても、新型コロナウイルスが怖くてなかなか出歩くことができないからです。実際、ロックダウン措置を一部解除したジョージア州では、レストランでの店内飲食や映画館の営業再開が容認されたものの、店舗の客足は回復していません。これは、中国・武漢でも同じです。
つまり、新型コロナウイルスに対する治療薬やワクチンが開発されて、量産体制が未だ整うまでは、客足が回復するという見通しが立たないのです。
これまでは感染危機の収束後、ただちに米経済はもと通りになると思われていましたが、人々の恐怖が完全に消えるまでには時間が必要で、これこそが米経済が予想外に長期で低迷してしまうかもしれない要因となっているのです。
そのため、投資家は米経済が再び景気拡大期を迎えるまで、忍耐強く待ち続ける必要があります。
グッドラック。
【PR】YouTube『バフェット太郎の投資チャンネル』は毎週、水曜・土曜の18時にアップされます。日本一わかりやすい投資・経済専門番組を目指していきますので、チャンネル登録ぜひよろしくお願いします!!
大変励みになります。今日も応援のポチお願いします
新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)により、米経済が危機的な状況に陥る中、FRBは無制限の量的緩和政策に踏み切るなど、規格外の金融緩和に動いています。
そのため、中には「ドルが大暴落してハイパーインフレになる」と主張している人がいますが、結論から言えば、そのようなことが起こる兆候は見られません。
ただし、米経済の低迷は予想外に長期化する可能性があることを考えると、投資家は二番底を警戒するなど、忍耐強さが求められます。
★★★
歴史を振り返ると、今から約674年前の1346年に、ヨーロッパでペスト(黒死病)が大流行したわけですが、当時、人口の3分の1時以上が死亡するなど、欧州経済は大打撃を受けました。
しかし、皮肉なことに人口が激減したことで、人々の実質賃金が上昇したほか消費の拡大したこと、さらに産業革命が始まったことで欧州経済は飛躍的な成長を遂げました。
とはいえ、今回も過去と同じように賃金が上昇して、飛躍的な経済成長が始まるのかというと、そうした兆しは見えません。そもそも、新型コロナウイルスによる現役世代の死者数は限定的ですし、インフレの兆候も見られないからです。
そのため、新型コロナウイルスの感染危機収束後も、米経済はしばらく低迷する可能性があります。
★★★
新型コロナウイルスによる経済への影響は、当初こそ「限定的」だと見られていましたが、その後急速に世界経済危機へと発展し、人々の生活を大きく変えました。
とりわけ労働市場が急速に悪化していて、過去5週間の米国の失業保険申請件数は2600万人を超えるなど、米労働人口1億6000万人のうちおよそ16%が失業しています。
セントルイス地区連銀によれば、今後失業者はさらに増え、合計5000万人近くが失業し、失業率は32%に達するなど、1930年代の世界恐慌を超える大不況に突入することが予想されています。
ちなみに、世界恐慌の失業率は最大25%弱まで上昇しました。当時、イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、「なぜ不況が起こるのか?」そして「経済を元の状態に戻すにはどうすればいいのか」ということについて、『雇用・利子および貨幣の一般理論』で、「景気回復に最も重要な要素は『需要』である」として、政府による経済への積極的な介入を呼びかけていました。
需要を増やすには所得が必要なので、たとえば2兆ドルの国債を発行して2兆ドルの公共事業をすれば、国民所得は2兆ドル増加します。ちなみにケインズはこの公共事業の中身は問題なくて、「穴を掘ってそれをまた埋めるような仕事でも良い」なんて言っています。
こうしたケインズの理論を「有効需要理論」と言ったりして、米国はまさにそれを実践しようとしています。
たとえば、米国では景気刺激策の一環として、国民一人当たり1200ドル(子ども500ドル)の現金支給をしているほか、企業に対しては従業員を解雇しないことを条件に賃金の肩代わりをすることを約束しています。
とはいえ、「政府が国民にお金をばら撒き続ければ、ドルは大暴落し、米政府が破綻してしまうのでは?」と心配している人も少なくありません。実際、2008年の金融危機の時も「ドルの終焉」などと言われていました。
しかし、人と国は違うので、そうした心配をする必要はありません。つまり、政府は経済危機など困難な局面では国債をどんどん発行して景気を下支えすればいいのです。
もちろん、際限のない国債の発行は通貨の価値を下げ、長期的にはインフレがもたらされますが、ケインズの言葉を借りれば「長期的には我々はみな死んでいる」のです。
とはいえ、この言葉は何も将来に無責任な発言をしたわけではなくて、「長期的に見ればインフレという問題は避けられないが、だからと言って目先の問題から逃げて良いというわけではなく、目先の経済危機は政府による積極的な介入で解決しつつ、インフレが引き起こるまでには時間があるので、それまでに対策を講じれば良い」と主張しているのです。
このように、新型コロナウイルスの感染危機を巡って、政府や中央銀行にできることのほとんどは実行されつつあります。とはいえ、政府による積極的な介入だけでは、米経済は回復しません。
なぜなら、ロックダウンが解除されても、新型コロナウイルスが怖くてなかなか出歩くことができないからです。実際、ロックダウン措置を一部解除したジョージア州では、レストランでの店内飲食や映画館の営業再開が容認されたものの、店舗の客足は回復していません。これは、中国・武漢でも同じです。
つまり、新型コロナウイルスに対する治療薬やワクチンが開発されて、量産体制が未だ整うまでは、客足が回復するという見通しが立たないのです。
これまでは感染危機の収束後、ただちに米経済はもと通りになると思われていましたが、人々の恐怖が完全に消えるまでには時間が必要で、これこそが米経済が予想外に長期で低迷してしまうかもしれない要因となっているのです。
そのため、投資家は米経済が再び景気拡大期を迎えるまで、忍耐強く待ち続ける必要があります。
グッドラック。
【PR】YouTube『バフェット太郎の投資チャンネル』は毎週、水曜・土曜の18時にアップされます。日本一わかりやすい投資・経済専門番組を目指していきますので、チャンネル登録ぜひよろしくお願いします!!

大変励みになります。今日も応援のポチお願いします
コメント