バフェット太郎です。

アパレルブランド「ダーバン」や「アーノルドパーマータイムレス」で知られるアパレル大手のレナウンが経営破綻しました。これによってレナウン株は東証一部から上場廃止となります。

経営悪化の主な要因は、親会社の山東如意集団から売掛金が回収できなかったことに加えて、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて衣料品販売が急減し、その結果資金繰りに行き詰まったためです。

「コロナショック」で上場企業が破綻するのはレナウンが初めてで、負債総額は約138億円で、今後は再建に向けてスポンサーを探すと見られています。

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レナウンは1902年創業の老舗アパレル企業で、2006年にダーバンと合併し、2010年には中国繊維大手の山東如意集団から出資を受けて、2013年に子会社化されました。親会社となった山東如意集団はレナウン株の5割超を保有する筆頭株主として名を連ねているわけですが、今回、レナウンが経営破綻した理由は、この山東如意集団に原因があります。

なぜかというと、レナウンは2019年12月期に67億円の純損失を計上したのですが、これは山東如意集団に対する53億円の売掛金が回収できなかったことで、57億円の貸倒引当金を計上したためです。

つまり、親会社の山東如意集団は子会社のレナウンから53億円の商品を仕入れたのにも関わらず、代金を支払わなかったのです。さらにその後、筆頭株主でもある山東如意集団はレナウンの前社長と前会長を退任に追い込みました。

そして追い打ちをかけるように「コロナショック」の影響で売上高が激減し、収入も途絶えたことで資金繰りが悪化して経営破綻したというわけです。

ちなみに、なぜ親会社の山東如意集団はレナウンに対して売掛金を支払わなかったのかと言うと、同社は中国の国内ブランドだけでなく、英ブランドの「アクアスキュータム」やスイスブランドの「バリー」、仏アパレルの「サンドロ」、さらに約2000億円を投じた米スパンデックス繊維(水着で使われるような伸縮性のある繊維)の「ライラック」など大型M&Aを立て続けに行ったことで、資金繰りが悪化したためです。つまり、無計画に欲しいブランドを手当たり次第買いまくっていたというわけです。

2019年9月末時点での山東如意の「一年以内に返済期限を迎える短期債務」は約980億円だった一方、流動資産は1300億円しかありませんでした。流動資産の中にはすぐに現金化することができない資産も含まれますから、債務返済のためにレナウンに売掛金を支払うことができなかったのです。

そして、当のレナウンは売掛金の回収を諦めて、新社長の毛利氏が今後の強化分野として「EC事業」を挙げました。しかし、そもそもレナウンはEC事業を始めてからすでに10年経過しているのにも関わらず、売上高に占めるEC事業の割合はわずか3%と、全く成長していなかったのです。

こうした企業は何も日本のアパレル企業だけではなくて、世界中のアパレル企業に言えることなんですが、EC事業そのものへの本気度が、経営陣も現場の従業員も全員が低すぎるんです。

なぜ、このようなことが起こるのかと言えば、そもそも古い体質の経営陣はEC市場に疎いですし、現場の従業員はノルマがあり、成績の良い従業員ほど尊敬されて、会社でも出世できますから、接客の得意な人たちばかりが人の上に立つわけです。

すると、企業全体としては「接客で商品を売っていこう」となるので、いつまで経っても変わることができないんです。接客販売を否定するということは、自分の存在意義を否定することと同じだからです。

そしてその結果、アマゾンやZOZOといったネット通販企業が飛躍的に成長する中でも危機感を抱くことができず、コロナショックでとどめを刺されるわけです。

そのため、レナウンが経営破綻した直接の原因は山東如意集団から売掛金を回収できなかったことやコロナショックによるものですが、レナウンの本業自体うまくいっていなかったことを考えると、いずれは淘汰される運命だったと言えます。

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これからのコロナ後の世界では、人々の買い物の仕方は大きく変わることが予想されています。たとえばこれまで以上にインターネットで買い物する割合は増えるでしょうし、自宅で仕事ができるようになるなど家で過ごす時間が増えることで、インテリアへの支出が今まで以上に増えるかもしれません。その一方で、服や靴、カバンなどがこれまでよりも売れなくなる可能性があります。

また、世界が同時不況に突入する中で、人々はこれまで以上に支出を抑制したり、価値のあるものにだけ消費するようになりますから、熱狂的なファンづくりに強みを持つ企業やネット通販事業に力を入れている企業ほど顧客の囲い込みに成功し、それができない企業ほど淘汰される公算が大きいです。

言い方を変えれば、アパレル業界はこれから勝ち組と負け組がハッキリする、新しい世界が始まるということです。

グッドラック。

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