バフェット太郎です。

孫正義氏率いる投資会社ソフトバンク・グループが2020年3月期の決算を発表しました。営業損益は1兆3646億円の赤字、さらに純損益は過去最大となる9616億円の赤字に転落しました。

営業損益で巨額の赤字を計上した理由は、通信事業のソフトバンクで9233億円の黒字を計上した一方で、SVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)事業で1兆9313億円もの巨額赤字を計上したためです。

ソフトバンク・グループは投資事業のSVFを通じて、かねてから将来有望の新興企業に投資しているわけですが、そのうちの一つでシェアオフィス大手のウィーワーク株で5370億円もの巨額の特別損失を計上したほか、先日経営破綻した通信衛星ベンチャーのワンウェブ株についても580億円の特別損失を計上し、これが最終損益に大きな影響を与えたというわけです。

これでSVFの価値は2兆6000億円と、19年12月末時点の価値3兆1000億円と比べて5000億円減少しました。また、保有するアリババ(BABA)株を売却したことで、アリババの株主価値は14兆7000億円と、19年12月末時点の15兆5000億円と比べて8000億円減少しました。

孫正義氏はかねてから「ソフトバンク・グループを株主価値で判断してくれ」と主張していますが、その株主価値は21兆6000億円と、19年12月末時点の23兆円と比べて1兆4000億円(6.1%)減少しました。

ちなみに、この「株主価値で判断」という価値観はハッキリ言ってクソです。なぜなら保有する株価で株主価値が大きく変動するので、景気拡大局面におけるバブル相場ほどソフトバンク・グループの価値は増大し、反対に景気後退局面では株価が暴落して評価損が発生し、株主価値が激減するためです。

つまり、株主価値での判断はソフトバンク・グループの実体を正しく反映していないと言えるのです。

実際、米投資会社バークシャー・ハザウェイを率いる著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、むしろ株主価値で判断するのではなく、営業利益に注目するように株主にアドバイスしています。

つまり、バフェット氏は本業の儲けに注目しろと言っているわけです。

バフェット氏にとって「営業利益」こそ最も重要であるならば、傘下企業に求めることは本業のビジネスに集中し、儲けを最大化することです。

その一方で、孫正義氏にとって「株主価値」こそ最も重要であるならば、傘下企業に求めることは、夢によるバリュエーションの最大化です。本業で赤字を垂れ流していたとしても、「将来は第二のアリババに化ける」という夢を投資家に見せることができ、その結果バリュエーションを最大化できるのなら、孫正義氏の目標は達成されることになります。

そう考えると、ソフトバンク・グループがいかに虚像であるかがわかると思います。
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ちなみに、ソフトバンク・グループの保有株式のポートフォリオを眺めると、アリババが半数を占めており、ソフトバンクとTモバイルの通信事業がおよそ三割を占めていることがわかります。

孫正義氏の主張する「株主価値の最大化」はこのポートフォリオで資産を最大化するというものなのですが、通信事業から得られるキャッシュフローがSVFに吸い取られていくだけであることを考えると、とても魅力的なポートフォリオには見えません。

グッドラック。

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