バフェット太郎です。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2019年度の運用実績が8兆2831億円もの赤字になったことを発表しました。通年で赤字となるのは2015年度以来4年ぶりで、運用利回りは-5.2%と過去三番目に悪い成績でした。

運用成績が振るわなかった主な要因は、3月のコロナショックを受けて国内株式が-9.71%、外国株式が-13.08%だったためです。その一方で外国債券は+3.55%を資産全体を下支えしました。

GPIFが巨額の赤字を計上したことに憤慨している人も少なくありませんが、それは金融リテラシーの低い情弱民だけです。なぜかというと、年金積立金の累積収益額はすでに57兆5377億円と巨額で、今後も莫大なインカムゲイン(利子・配当収入)が見込めるからです。

【累積収益額とインカムゲイン】
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ちなみに、2001年度から2019年度までの累積収益額収益額は57兆円ですが、インカムゲインの累積は37兆円もあり、累積収益額い占めるインカムゲインの割合は60%を超えています。

【インカムゲインの内訳と推移】
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インカムゲインの多くは国内外の株式からによるものです。債券は世界的に低金利が続いていますから、国内債券による利子収入が4020億円、外国債券は8189億円だった一方で、国内株式の配当は9820億円、外国株式は1兆0382億円でした。(2019年度のインカムゲインは3兆2406億円です。)

GPIFはこのインカムゲインをそのまま現金で置いておくのではなく、さらに株式と債券を買い増すことで将来のインカムゲインを増やすなど、雪だるま式に資産を増やしているのです。

そもそも、GPIFが金融市場で運用しなければならない背景には、日本の年金制度が「賦課方式」だからです。

「賦課方式」というのは、現役世代が稼いだお金の一部を年金保険料として国が徴収して、その徴収したお金を現在の引退世代に年金として給付するという仕組みのことです。

つまり、現役世代は稼いだお金を年金保険料を納付しているんですが、これは自分の年金のために納付しているわけではなくて、引退世代のために納付しているわけです。

そして、今の現役世代も将来引退をすれば、未来の現役世代が年金保険料を納付することで、年金を受給することができるわけです。

しかし、この「賦課方式」には問題もあります。それは、少子高齢化が進む中で、未来の現役世代の負担が大きくなるという問題です。

そこで、政府は現役世代から徴収する年金保険料のすべてを引退世代に年金として給付するのではなくて、一部を年金積立金として積み立てて、将来の不足分を補おうとしているわけです。

ちなみに、年金財源全体のうち、年金積立金から賄われるのは1割程度ですから、特定の年度に株式市場が大暴落して評価損が発生したとしても、それが翌年度の年金給付額に影響するということはありません。

そして、GPIFは概ね50年程度は取り崩す必要がない資金ですから、どっしりと腰を据えた長期投資をすることになりますから、分散投資が基本戦略になります。

分散投資は資産運用における基本中の基本で「卵は一つの籠に盛るな」という格言があります。つまり、ひとつのマーケットやひとつのアセットクラスに集中投資することはリスクですから、複数のマーケット、複数のアセットクラスに分散投資するのが資産運用における王道というわけです。

具体的に言えば、国内外の株式や債券に分散投資するということです。 そのため、GPIFは国内外の株式と債券に投資して配当を再投資しているわけです。

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GPIFが株式市場で年金を運用することに否定的な人の中には、「暴落したらどうするんだ!」と言って非難している人も少なくありません。しかし、それは明らかに株式市場の歴史について勉強不足です。
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たとえば、過去40年を振り返ると、世界の株価(FTSE・グローバル・オールキャップ・インデックス)は今回のコロナショックを含めれば9回も20%以上暴落しています。しかし、その一方で株価指数は16倍にもなっています。

つまり、歴史を知っている人たちは、向こう40年で10回程度の暴落を覚悟した上で、それでも株式に投資した方がメリットが大きいと確信しているわけです。言い方を変えれば、過去40年振り返った時、資産を現金だけで保有しておくことが非常にリスクの高いことだということも確信しているんです。

ですから、GPIFが株式と債券に50%ずつ投資する(※2020年4月以降の基本ポートフォリオは国内外の株式と債券に各25%)のは、堅実で理に適っていると言えるんです。

グッドラック。  

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