バフェット太郎です。

中国が米中新冷戦時代に備えて半導体の国産化を加速させています。

【中芯国際集成電路製造(SMICY):週足】
1
米中ハイテク覇権を巡って「半導体」は非常に重要な部品であるわけですが、その「半導体」を製造するためには高度な最新技術が必要で、中国はこれまで米国製の半導体に頼ってきました。

しかし、米中対立が激化する中で、仮に米国製の製造装置を導入することができなくなれば、それはすなわち中国ハイテク産業の「死」を意味します。そのため、中国は米国への依存を解消するために国産化を加速させていて、国家政策として「中国製造2025」を掲げています。

「中国製造2025」とは、半導体自給率を現在の14%から70%に高めることを目標にするものです。ただし、米調査会社ICインサイツによれば2024年時点でも2割強に留まるとのこと。そのため、国産化のペース加速が課題となっています。

さて、こうした中、政府系ファンドから相次いで出資を受けている半導体受託生産中国最大手のSMICの株価は3月の安値7ドルから現在24ドルと、三倍超上昇しているほか、PERは103倍と投資家の期待が高まっています。

ただし、SMICの技術はなお台湾のTSMCに5年ほど遅れていると言われているほか、米国の制裁を受けている中国通信機器最大手のファーウェイ(非上場)からの半導体製造の委託を断っていることから課題も残っています。

ちなみに、SMICがファーウェイの製造委託を断った理由は、技術が追い付いていないこと、キャパシティが足りないこと、さらにファーウェイと取引すればエンティティリスト(米国の国家安全保障・外交政策上の利益に反する可能性がある企業のリスト)に追加されかねないためです。

仮にエンティティリストに追加されて、米国が最新技術の輸出を制限すれば、SMICが選好企業に追いつくのは一段と厳しくなるのは必至です。また、今後はファーウェイと取引がなくても輸出制限を課せられる可能性があります。

こうしたことから、中国の政府系ファンドが莫大な資金を供給して株高を演出しても、投資に見合うだけの成果が挙げられなければバブルが崩壊するだけで、リスクは高まるばかりです。

【iシェアーズMSCI中国株ETF(MCHI):2011-2020】
2
中国株ETFは緑の点線のレジスタンス(上値抵抗線)を上にブレイクアウトして一段と上昇する公算が大きいです。

米中新冷戦時代を迎える中、世界が「脱チャイナ」に動くことが必ずしも中国の株安につながらないのは、米中戦争で中国が勝つ可能性が高まっているわけではなくて、中国当局による企業支援や景気支援策が一時的に企業業績の追い風になるためです。

しかし、前述した通り、投資に見合うだけの成果が得られなければ株価は再び暴落するだけなので、投資家は注視する必要があります。

グッドラック。  

【PR】YouTube『バフェット太郎の投資チャンネル』は毎週、月曜・水曜・土曜の18時にアップされます。日本一わかりやすい投資・経済専門番組を目指していきますので、チャンネル登録ぜひよろしくお願いします!!
 
 
SPONSORED LINK