バフェット太郎です。

孫正義氏率いる投資会社、ソフトバンク・グループが傘下の英半導体開発大手アーム・ホールディングスを完全もしくは部分的な売却、あるいはIPO(新規上場)を含め選択肢が検討されているそうです。

これは、ビジョン・ファンドの不振で長期的な資金繰りに影響が出ている可能性を示唆しています。

そもそも、ビジョン・ファンドは新型コロナウイルスの影響も重なって、投資先のシェアオフィス大手のウィーワークや新興ホテルチェーンのOYOが打撃を受けています。

こうしたことから、ビジョン・ファンドの投資先の企業価値が軒並み減少していて、莫大な評価損を計上する羽目に陥っているわけです。ただし、評価損というのは決算上赤字として計上されるものの、資金流出を伴うものではありません。

ですから、評価損が資金繰りに直接影響しているわけではないんですが、評価が下がっているということは、将来生み出すキャッシュフローも期待できないわけですから、長期的な見通しも下方修正されます。

また、ソフトバンクはビジョン・ファンドに投資しているサウジの政府系ファンドに対して、年間7%もの配当を支払わなければなりませんから、いずれにせよ現金は必要であるわけです。

孫正義氏は2020年以降、自社株買いや現金を手元に持つためだけに、虎の子であるアリババ株やTモバイル株を売却していて、今回はアームにまで手を付けようとしています。

そもそもアームは世界のスマートフォンの大半に搭載されるマイクロプロセッサーを設計している企業で、孫正義氏は買収する際に「(ソフトバンクにとって)パラダイムシフトになる」とし、「IoT(モノのインターネット)」がもたらす未来について熱く語っていました。

普通、アリババもアームも業界を代表する優良株であるわけですから、ソフトバンクの向こう20年、30年を考えた場合、絶対に手放してはならない資産であるはずです。そうであるにも関わらず、現金化を急いでいるのは、それだけ将来の資金繰りに危機感を持っているからだと言えます。

【ソフトバンク・グループ】
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株価は先日の自社株買いを好感して大きく上昇していますが、ブレ幅が大きくなっていることに加えて、孫正義氏が現金化に焦っていることを考えると、ソフトバンク・グループの未来は株主が思っているよりも危機的な状況にあるのかもしれません。

グッドラック。  

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