バフェット太郎です。

米中新冷戦時代を迎える中、中国の不動産バブルは弾けるどころかむしろ膨張しています。

【中国住宅価格指数(対前年比)】
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中国の6月住宅価格指数は前年比で+4.9%と、伸びが鈍化しているものの依然として高水準で推移しています。

なぜ、米中新冷戦時代に突入したことに加えてコロナ禍により多くの人々が失業する中で不動産価格が上昇しているのかと言うと、中国人にとって不動産こそが「安全資産」に他ならないからです。

中国人の多くは、「政府が住宅価格を下落させたくはないはずだ」とした上で、「下落させないためなら政府はあらゆる手段を用いてくれるはずだ」と考えているのです。そのため、中国人は経済全体がどうなろうと、大都市の不動産が最も安全な投資対象だと確信し、積極的に不動産に投資しているのです。

また、米中新冷戦時代に突入したことに加えて、世界が同時不況に突入したことも不動産価格の上昇に拍車をかけています。

というのも、現在の不動産バブルは不動産未所有者が購入しようとして価格が吊り上がっているのではなくて、すでに複数の不動産を所有している投資家によって吊り上げられているのです。(ちなみに、不動産未所有者の需要は経済の落ち込みで減退しています。)

複数の不動産を所有しているオーナーは、コロナ禍の中で消費が減る一方、不動産収入は見込めるので潤沢なキャッシュがあるのです。しかし、それをそのまま現金として銀行に預けていれば、これからのインフレで目減りしかねません。

そこで、”安全資産”の不動産に資金が流れているというわけです。

住宅市場の活況はある意味で中国政府の目標でもありました。なぜなら、住宅販売が加速すれば、それに付随して家具や家電が売れるので、経済効果は計り知れない大きさに膨れ上がるからです。

ただし、その一方で多くの中間層は莫大な借金を背負っています。そのため、不動産価格が暴落し、中国経済がリセッション入りすれば多くの中間層がローンを支払えなくなるほか、不動産を売却しても莫大な借金が残るだけです。

「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」というジョン・テンプルトンの言葉を借りれば、誰もが安心して投資できる中国の不動産は、この世で最も危険な投資対象のひとつかもしれません。

グッドラック。

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