バフェット太郎です。

金先物価格が一時、2011年以来9年ぶりに1900ドルを突破しました。これは、米国対中国の政治戦争への緊張感の高まりや、新型コロナウイルスを巡る世界経済の成長鈍化懸念が金相場に追い風になっているためです。

ポンペオ国務長官は演説で、「中国が変わらなければ世界は安全にならない」というニクソン元大統領の発言を引用したほか、「信頼せよ、しかし確かめよ」というレーガン元大統領の言葉を一部変え、「(中国は)信頼するな、そして確かめよ」と発言しました。

さらに、「中国共産党はソ連と同じ過ちを繰り返している」とし、中国が冷戦で敗北したソ連と同じ道を辿ろうとしていることを示唆しました。

そして、米国で急速に中国共産党性悪論が浸透しつつあることを考えれば、新冷戦時代は止めようがないことがわかります。

たとえば、貿易やハイテク、海洋の主導権争いまでなら何らかの妥協もあり得ますが、中国共産党性悪論は、特定の思想を否定することですから妥協しようがないのです。実際、米政府は9000万人超いるとされる中国共産党員とその家族の入国を禁じることを検討しています。

また、こうした反中感情は大統領選挙にバイデン氏が勝利したとしても変わることはありません。なぜなら、対中強硬は超党派の路線で民主党も強く支持しているからです。

そのため、政治戦争への緊張感は大統領選挙後も続くのは確実であり、金相場に追い風になります。また、新型コロナウイルスのワクチンが未だ完成していないことや、今後、コロナウイルスが変異する可能性があることを考えれば、新型コロナウイルスを巡る世界経済の成長鈍化への懸念も続くことが予想され、これも引き続き金相場の追い風になります。

さらに、世界先進各国によるマネーサプライ(通貨供給量)が膨張が、理論上金の価格を引き上げることにつながるため、こうした状況を踏まえれば金は一段と上昇することが予想されます。

【金先物価格:2008-2020】
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金のチャートを眺めると「カップウィズハンドル」を形成しようとしていることがわかります。「カップウィズハンドル」とは、カップ型のチャートを形成した後、”取っ手”の部分を形成するために小さく浅いU字型の調整を迎え、その後大暴騰することが予想されるチャートパターンのことです。

ですから、過去最高値の1923.70ドルを一気に突破することが予想されているわけではなくて、過去最高値を付けた後、1700~1800ドル水準をターゲットに調整局面を迎えることが予想されます。

しかし、その下落で金の強気相場が終わったわけではなくて、あくまでこれから続く強気相場の一時的な調整にしか過ぎないということです。ただし、調整局面を迎えず、そのまま大暴騰する可能性もあるので短期売買は禁物です。

ちなみに、新興国株投資のパイオニアでモビアス・キャピタル・パートナーズの共同創業者マーク・モビアス氏によれば、「金利がゼロまたはゼロに近い場合、金には金利が付かないという点が問題ではなくなるため、金を持つことは魅力的だ。金融市場の不透明性が高まる中で、金価格は上昇するだろう」とし、「自分なら今からでも金を買う。今後も買い続ける」と述べています。

さて、金よりも大きな値上がり益が期待できるのが金鉱株ETFです。これは金鉱株にレバレッジ効果が期待できるためです。

たとえば、金価格1000ドルの時、金の生産コストを900ドルとすれば100ドルの利益になります。しかし、金価格が10%値上がりして1100ドルとなった場合、金の生産コストが同じ900ドルなら利益は200ドルと二倍(+100%)になります。

このように、金鉱会社の利益は金価格の値上がり益がわずかでも大きな増益が期待できるんです。とりわけ、生産コストの高い金鉱株ほど大きな値上がり益が期待できるほか、株価も大暴騰しやすいです。

【ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF(GDX)】
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たとえば、ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF(GDX)を眺めると、直近の安値16.18ドルから41.83ドルと、およそ2.6倍(+160%)も値上がりしています。(※この間、金価格は+31%上昇しただけでした。)

【ハーモニー・ゴールド(HMY):2008-2020】
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そして、生産コストが高い南ア金鉱株のハーモニー・ゴールドに至っては、直近の安値1.76ドルから7.03ドルとおよそ4倍(+300%)も値上がりしていることがわかります。これは金のパフォーマンスの10倍です。

このように、金鉱株は金の強気相場で大きな値上がり益が期待できるわけですが、その反対に金が一度暴落すると金鉱株の株価は大暴落してしまうので注意しなければなりません。

実際、ハーモニー・ゴールドの株価は2011年の14.80ドルから、わずか5年で0.51ドルと、96.6%安も大暴落しています。つまり株が紙クズになったということです。

こうしたことから、永遠に保有するような長期投資には向かないので注意が必要です。

グッドラック。

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