バフェット太郎です。

日経新聞の記事によれば、昨年の米シェール大手7社の最終損益合計額は-370億ドル(およそ4兆円)の赤字だったとのこと。ちなみに一昨年は110億ドルの黒字でした。

24日に米テキサス州、ヒューストンで開かれた米国最大の石油業界の会合では、シェール企業のデボン・エナジー(DVN)のデビッド・ハーガーCEOが「1バレル32ドルではやっていけない」と弱音を吐き、パイオニア・ナチュラル・リソーシズ(PXD)のスコット・シェフィールドCEOは「生き残るには原油価格は50~60ドル必要」ともはや悲鳴に近い声が相次いだそうです。

昨今、シェールオイルの生産効率が向上していることから、シェール企業は原油価格が30ドル台でもやっていけるんだと勘違いしている人がいるかもしれませんが、それはごく一部の鉱区に限られます。DVNとPXDはどちらも優良な鉱区を保有しており、シェールオイルの生産効率向上を主導してきた大手ですが、その両社が現在の価格水準ではやっていけないということを認めてしまっているわけです。

つまり、30ドル台の水準が続くようならシェール企業は次々と破綻していくわけです。しかし、DVNのような大手シェール企業はしぶとく生き残ります。なぜならDVNなどの米シェール大手企業の新株に投資家が殺到しているからです。

米シェール企業による新株発行額は年初来で50億ドル(約5600億円)を超えており、投資家の反応は低迷する株価をよそに大変好調です。

投資家がDVNなどのエネルギー企業の新株を買い漁っている理由は、原油価格がこれ以上下がることはなく、むしろ反発すると考えいるためです。そのため資金調達に成功したエネルギー企業各社は、将来の原油価格の反発を期待している投資家のためにも、例え赤字でも借金の利払いのために生産を続けなければならないのです。まるでゾンビのように、すでに死んでいる企業が動き続けるというわけです。

しかし、なかには資金調達ができずゾンビになれなかったシェール企業だってあるわけです。そうした企業から破綻していくわけですが、世間を賑わす大手の倒産まではまだしばらく時間がかかりそうです。
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DVNの週足チャートです。株価は昨年の高値80ドルからおよそ-75%値下がりしています。

最悪なシナリオは原油価格の長期低迷によるロシアやベネズエラなど産油国のデフォルトとシェール企業の連鎖倒産です。しかし、投資家にとってみればまさにそういうときが絶好の買い場になるので、2017~2018年はそういうストーリーが待っているかもしれません。
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