バフェット太郎です。

先週、空売り投資家のヒンデンバーグ・リサーチが、EVトラックベンチャーの二コラが、バッテリーや燃料電池技術を巡って、虚偽の情報を発信していると批判するリポートを発表しました。

報告書によれば、「これほど大きな詐欺は見たことがない」とした上で、「ニコラが正常に機能しない製品を、完全に機能するかのように見せかけた」と指摘したほか、誤解を招く動画を公開し、自社の能力やパートナーシップ、製品について「数十のうそ」をついたと指摘しています。

【誤解を招く動画】

たとえば、「誤解を招く動画」というのがこちらの動画で、この動画を観ると二コラのトラックがアメリカの大平原を颯爽と走っているように見えますが、実は、これは単に下り坂の坂道を転がり落ちているだけだということが、元従業員の証言で明らかになったんです。

また、その他にも2019年10月に二コラは「バッテリー業界に革命を起こす」として、「エネルギー密度が現在普及しているものの2倍のバッテリーを開発した」と発表しましたが、その後、そのようなバッテリーが開発されていないことが明らかになりました。

さらに、二コラは長距離トラックのEVトラックメーカーであり、この分野で成功するためには安価な水素燃料電池が欠かせないのですが、二コラは水素燃料電池のコストを最大81%削減することに成功したと発表し、すでに製造していると主張しましたが、実際は一度も作ったことがないことが明らかになっています。

加えて、二コラは本社の屋根に3.5メガワットのソーラーパネルがあり、エネルギーを生産していると主張していましたが、航空写真で確認するとそんなソーラーパネルなど存在しないことが明らかになりました。

【二コラ本社屋根】
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その他にも、二コラは自社で天然ガス井を所有しているとウェブサイトで公表しましたが、それを裏付ける証拠はなく、その後二コラのウェブサイトからも密かに削除されました。

さらに、水素機能がまったくないにも関わらず、二コラのトラックの側面には「H2」と「ゼロエミッション・ハイドロジェン・エレクトリック」と記してありました。
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このように二コラが嘘に嘘を重ねていたことで、出資者である金属加工大手のワージントンや自動車部品世界最大手のボッシュ、物言う株主で知られるバリューアクトが二コラ株の売却に走っていて、ワージントンは7月に2億3700万ドル、8月にはさらに2億5000万ドル分の二コラ株を売却しました。

こうした中、米自動車大手のゼネラル・モーターズが二コラの株式を11%取得して業務提携したわけですが、これはゼネラル・モーターズがテスラの躍進に焦った可能性があります。

仮に二コラのEVトラックが詐欺だと明らかになれば、ゼネラル・モーターズの株だけでなく、EV業界全体が投げ売りの対象になるので、テスラ株も巻き添えを食らう公算が大きいです。

【二コラ(NKLA):日足】
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二コラの日足チャートを眺めると50日移動平均線がレジスタンスになっていることがわかります。短期的には200日移動平均線の25ドル、それを割り込むようなら5月の安値水準である20ドル、さらにそれを割り込むようなら4月の高値である15ドルがターゲットになります。

【テスラ(TSLA):日足】
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テスラの日足チャートを眺めると、直近の高値502ドルから25.8%安と暴落していますが、依然として50日移動平均線より上で推移していることを考えると、強気トレンドは継続していることが確認できます。

ただし、二コラのEVトラックが詐欺であることが明らかになれば、テスラも巻き添えを食らう可能性があるので、その場合、200日移動平均線である184ドルをターゲットに暴落する可能性があります。

とはいえ、二コラが詐欺をしたからと言ってテスラが詐欺をしているわけではありませんから、仮に連れ安となれば、テスラ株を押し目買いする絶好のチャンスになります。

グッドラック。

 
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