バフェット太郎です。

原油安によるエネルギー株の低迷が続く中、米石油メジャー大手のコノコフィリップス(COP)がシェール大手コンチョ・リソーシズの買収を発表しました。買収方法は株式交換で、コノコ株97億ドル分とコンチョの全株式が交換されるそうです。

コノコはカナダやオーストラリアに大規模な石油・天然ガス資産を所有する石油メジャーの一角として知られていますが、生産規模ではエクソン・モービル(XOM)やシェブロン(CVX)の半分以下に留まりますし、時価総額はおよそ四分の一程度しかありません。

しかし、コノコはコンチョを買収することで、コンチョが保有する大規模なシェール資産を手に入れることができるので、パーミアン鉱区でエクソンとシェブロンに匹敵する規模になります。

ちなみに、パーミアン鉱区のシェールオイルは比較的生産コストが低いことで知られていて、コンチョのシェール資産も1バレル30ドル以下のコストで生産できるそうです。

さて、米シェール業界は今業界再編が加速しつつあります。実際、9月には米シェール大手のデボン・エナジーと同業WPXエナジーが合併を発表したほか、7月にはシェブロンが同業ノーブル・エナジーの買収を発表しています。

これは、原油安に伴うシェール企業の相次ぐ経営破綻と株安が、石油メジャー大手にとって、良質な鉱区を獲得する絶好のチャンスだからです。

ちなみに「良質な鉱区」とは、米南部のテキサス州とニューメキシコ州にまたがるシェール最大鉱区のパーミアンで、コノコに買収されたコンチョも、シェブロンに買収されたノーブル・エナジーも、パーミアンを拠点にしています。

その一方、中西部のバッケン鉱区などは採掘コストが高いため、石油メジャーからも金融機関からも見放されやすく、経営危機に陥りやすいです。実際、4月に破綻したホワイティング・ペトロリアムや6月に破綻したチェサピーク・エナジーはいずれもバッケン鉱区を地盤としていました。

ところで、大統領選挙でトランプが勝利すれば、原油安の低迷が続く一方、バイデンが勝利すれば原油高になることが予想されています。

これは、トランプ政権がシェール開発の規制緩和を推進している一方で、バイデンは規制強化を掲げているからです。

そもそも、原油安の最大の要因は米シェールオイル企業による増産が挙げられます。そのため、規制強化によりシェールオイルの生産がストップすれば、供給量が抑制されますから、価格は上昇しやすくなるのです。

【原油先物価格:日足】
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原油先物価格の日足チャートを眺めると、35ドル~44ドルのレンジで推移していることがわかると思います。

これは、シェールオイルの平均採掘コストが40ドル前後であることから、価格が40ドルを超えるとシェール企業が積極的に増産するため、供給過剰から価格が抑制されやすい一方、35ドルを割り込むと生産を停止するため、供給不足から価格が上昇しやすいからです。

つまり、シェールオイル企業が生き残る限り、原油価格は低迷することが予想されるので、エネルギー企業にとって大統領選挙は非常に重要な分岐点と言えます。

グッドラック。

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