バフェット太郎です。
アリババ(BABA)傘下の金融会社アント・グループが11月5日に予定していた上場を延期しました。これは、規制環境の変化によって、アントが上場する資格がないと判断されたためです。
ちなみに、調達額は香港と上海の二つの市場で合計345億ドル(約3兆6000億円)と、2019年12月に上場したサウジアラビアの国有石油会社、サウジアラムコが調達した256億ドルを上回り、史上最大のIPOになる予定でした。
そして時価総額は30兆円規模になることが予想されており、これはペイパル(PYPL)の約25兆円、バンク・オブ・アメリカ(BAC)の約23兆円を凌ぐほか、JPモルガン・チェース(JPM)の33兆円に迫る規模です。
そもそもアントは、スマホ決済「支付宝(アリペイ)」を運営するなど、決済から融資まで幅広く事業を展開していて、同社のサービスを利用しているユーザー数は10億人を超えています。
これは、親会社のアリババが展開する生鮮食品や食事の宅配、配車、シェア自動車など、あらゆる商行為の決済を一手に担っているからです。
【アプリ利用者数(単位:億人)】
ちなみに、世界にはフェイスブックやYouTube、ワッツアップなど、20億人以上が利用するアプリは存在するものの、スマホ決済アプリに限ればアントはアップルペイの4.4億人を大幅に上回るなど断トツの世界一位です。
アリペイの年間取引額は17兆6000億ドルで、これは米クレジットカード大手のビザ(8兆8000億ドル)、マスターカード(6兆5000億ドル)、アメリカン・エキスプレス(1兆2000億ドル)の3社の合計額16兆5000億ドルをも上回ります。
アントは主に「決済」「与信(融資)」「資産運用」の三大事業で成り立っており、決済のアリペイが約36%、与信が約39%、資産運用が約17%と、全体の9割を占めています。
アントはこれまで決済で成長しており、営業収益に占める割合は5割を超えていましたが、2020年1-6月期には約36%まで低下し、その代わりに与信が急成長しました。
これは、AIを駆使することで、与信の精度を高めることに成功しているからです。アリペイはアリババ経済圏のすべての利用履歴を活用できる立場にありますから、利用者の消費動向を把握できるほか、融資できる上限や金利、延滞率など、正確に判断することができるのです。
また、中国ではかねてから「資産運用」と言えば「不動産投資」だったわけですが、これからは株式や債券への投資も拡大することが予想されていますから、「資産運用」事業の成長も期待できます。
こうしたことを背景に今後の業績見通しは営業収益が年率2~3割増が予想されています。
しかし、中国人民銀行や中国銀行保険監督管理委員会など当局との会合で、フィンテック企業であるアントに対しても、銀行業と同じように規制を強化すべきとの意見が出たこと、そして、アントはこうした規制強化を受け入れる姿勢を示唆したことで、これまで予想されていたような成長と利益が見込めなくなる可能性があります。
アントの上場延期を受けて、親会社のアリババ(BABA)は前日比8.13%安と急落しました。
グッドラック。
アリババ(BABA)傘下の金融会社アント・グループが11月5日に予定していた上場を延期しました。これは、規制環境の変化によって、アントが上場する資格がないと判断されたためです。
ちなみに、調達額は香港と上海の二つの市場で合計345億ドル(約3兆6000億円)と、2019年12月に上場したサウジアラビアの国有石油会社、サウジアラムコが調達した256億ドルを上回り、史上最大のIPOになる予定でした。
そして時価総額は30兆円規模になることが予想されており、これはペイパル(PYPL)の約25兆円、バンク・オブ・アメリカ(BAC)の約23兆円を凌ぐほか、JPモルガン・チェース(JPM)の33兆円に迫る規模です。
そもそもアントは、スマホ決済「支付宝(アリペイ)」を運営するなど、決済から融資まで幅広く事業を展開していて、同社のサービスを利用しているユーザー数は10億人を超えています。
これは、親会社のアリババが展開する生鮮食品や食事の宅配、配車、シェア自動車など、あらゆる商行為の決済を一手に担っているからです。
【アプリ利用者数(単位:億人)】
ちなみに、世界にはフェイスブックやYouTube、ワッツアップなど、20億人以上が利用するアプリは存在するものの、スマホ決済アプリに限ればアントはアップルペイの4.4億人を大幅に上回るなど断トツの世界一位です。
アリペイの年間取引額は17兆6000億ドルで、これは米クレジットカード大手のビザ(8兆8000億ドル)、マスターカード(6兆5000億ドル)、アメリカン・エキスプレス(1兆2000億ドル)の3社の合計額16兆5000億ドルをも上回ります。
アントは主に「決済」「与信(融資)」「資産運用」の三大事業で成り立っており、決済のアリペイが約36%、与信が約39%、資産運用が約17%と、全体の9割を占めています。
アントはこれまで決済で成長しており、営業収益に占める割合は5割を超えていましたが、2020年1-6月期には約36%まで低下し、その代わりに与信が急成長しました。
これは、AIを駆使することで、与信の精度を高めることに成功しているからです。アリペイはアリババ経済圏のすべての利用履歴を活用できる立場にありますから、利用者の消費動向を把握できるほか、融資できる上限や金利、延滞率など、正確に判断することができるのです。
また、中国ではかねてから「資産運用」と言えば「不動産投資」だったわけですが、これからは株式や債券への投資も拡大することが予想されていますから、「資産運用」事業の成長も期待できます。
こうしたことを背景に今後の業績見通しは営業収益が年率2~3割増が予想されています。
しかし、中国人民銀行や中国銀行保険監督管理委員会など当局との会合で、フィンテック企業であるアントに対しても、銀行業と同じように規制を強化すべきとの意見が出たこと、そして、アントはこうした規制強化を受け入れる姿勢を示唆したことで、これまで予想されていたような成長と利益が見込めなくなる可能性があります。
アントの上場延期を受けて、親会社のアリババ(BABA)は前日比8.13%安と急落しました。
グッドラック。
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