バフェット太郎です。
米労働省が3月の雇用統計を発表しました。内容は良かったです。ただし、好調な労働市場は株式市場にとってマイナス材料になる可能性があります。
【失業率】
まず、失業率は予想6.0%に対して、結果6.0%と予想に一致しました。
ただし、労働参加率が61.5%と低迷していることを考えると、労働市場は依然として厳しい状況にあると言えます。
【労働参加率】
そもそも労働参加率とは、労働力人口(就業者数+失業者数)を生産年齢人口(15歳~64歳)で割って求めた値のことです。
そのため、労働力人口には学生や専業主婦、早期リタイアした人、さらに職探しを諦めた人たちは含まれていませんから、労働参加率が低下しているということは、専業主婦や職探しを諦めた人たちが増えたことを示唆しています。
これは、コロナ禍によって遠隔授業になった子どもたちの世話をするために就職を断念したり、あるいは、レストランやホテルなどの雇用が失われたことで、就職を断念した人たちが大勢いるからだと考えられます。
そのため、「コロナ禍でなければ就職したい」という人たちが、今回の雇用統計に含まれていませんから、実際の失業率はおよそ9%程度だと言われていて、労働参加率が戻らない限りは、いくら失業率が低下しても、コロナ前の水準に戻ったとは言えません。
【非農業部門雇用者数】
また、非農業部門雇用者数は予想64万7000人増に対して、結果91万6000人増と予想を大きく上回りました。
1月と2月の非農業部門雇用者数は、速報値から計15万6000人分が上方修正されました。
これで、2020年5月から2021年3月までの11カ月間で、1370万人分の雇用を取り戻しましたが、2020年の3月と4月のわずか2カ月間で2206万人もの労働者が職を失ったことを考えると、米労働市場の回復は未だ道半ばだと言えます。
【平均時給(前年同月比)】
平均時給は前年同月比で予想+4.5%に対して、結果+4.2%と予想を下回りました。また、前月の+5.3%から1.1%ポイント低下しました。
平均時給が前月の伸びから鈍化したことは、労働市場にとって良い兆候だと言えます。なぜなら新型コロナウイルスによる打撃を最も受けたセクターが、比較的賃金の安いサービス業ですから、平均時給の伸びが鈍化しているということは、彼らが職場に復帰し始めていることを示唆しているからです。
【サービス部門】
実際、賃金が低いことで知られている「レジャー・娯楽」は、28万人増だったほか、前月も38万4000人増と、速報値の35万5000人増から2万9000人分が上方修正されるなど好調でした。
また、「レジャー・娯楽」は2020年3月と4月のわずか2カ月間で、807万4000人分の職が失われた一方で、5月以降の11カ月間において、未だ495万4000人分の雇用しか取り戻せていませんから、まだ回復の余地は十分残っていると言えそうです。
一方で、小売業は2020年3月と4月の2カ月間で、234万5000人分の職が失われた一方で、5月以降の11カ月間において207万7000人増と89%回復していますから、「レジャー・娯楽」に比べて緩やかな増加ペースになると思います。
【商品生産部門】
商品生産部門は「建設」が11万人増と、前月の5万6000人減から大幅に増加しました。前月は全米を寒波が襲ったことが影響しましたから、今月はその影響の反動が要因だと考えられます。
また、製造業は5万3000人増と、2020年9月以来、半年ぶりの伸びを示すなど好調でした。
今後の焦点は、集団免疫達成による感染危機の収束と、それに伴い労働参加率が回復するかどうかになります。とりわけ、女性の職場復帰が進むかどうかが注目されます。
しかし、景気回復が急速に進めば、それは株式市場にとってマイナス材料になります。なぜ、景気回復が株式市場にとってマイナス材料になるのか?というと、それは長期金利の上昇と量的緩和の縮小が株式市場のマイナス材料になるからです。
実際、予想を上回る雇用統計を受けて、米10年債利回りは1.714%と、前日比で+2.1%(+0.035%pt)上昇しました。仮に米10年債利回りの上昇が一段と加速すれば、高PER株の多いハイパーグロース株は売られやすくなるので注意する必要があります。
また、景気回復が急速に進めば、FRBによる量的緩和の縮小も意識され始めると思います。
FRBは量的緩和を縮小するタイミングについて、市場にショックを与えないように「前もってかなり先にアナウンスする」としていますから、このペースで労働市場が回復すれば、おそらく9月に予定されているFOMCで量的緩和縮小がアナウンスされると思います。
前もってかなり先にアナウンスすることで、市場に与える影響が、どれくらい和らぐかはわかりませんが、多少の調整局面は避けられないと思いますから、今回のような好調な雇用統計が何度も続けば、株式市場にとってマイナス材料になる可能性があります。
グッドラック。
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米労働省が3月の雇用統計を発表しました。内容は良かったです。ただし、好調な労働市場は株式市場にとってマイナス材料になる可能性があります。
【失業率】
まず、失業率は予想6.0%に対して、結果6.0%と予想に一致しました。
ただし、労働参加率が61.5%と低迷していることを考えると、労働市場は依然として厳しい状況にあると言えます。
【労働参加率】
そもそも労働参加率とは、労働力人口(就業者数+失業者数)を生産年齢人口(15歳~64歳)で割って求めた値のことです。
そのため、労働力人口には学生や専業主婦、早期リタイアした人、さらに職探しを諦めた人たちは含まれていませんから、労働参加率が低下しているということは、専業主婦や職探しを諦めた人たちが増えたことを示唆しています。
これは、コロナ禍によって遠隔授業になった子どもたちの世話をするために就職を断念したり、あるいは、レストランやホテルなどの雇用が失われたことで、就職を断念した人たちが大勢いるからだと考えられます。
そのため、「コロナ禍でなければ就職したい」という人たちが、今回の雇用統計に含まれていませんから、実際の失業率はおよそ9%程度だと言われていて、労働参加率が戻らない限りは、いくら失業率が低下しても、コロナ前の水準に戻ったとは言えません。
【非農業部門雇用者数】
また、非農業部門雇用者数は予想64万7000人増に対して、結果91万6000人増と予想を大きく上回りました。
1月と2月の非農業部門雇用者数は、速報値から計15万6000人分が上方修正されました。
これで、2020年5月から2021年3月までの11カ月間で、1370万人分の雇用を取り戻しましたが、2020年の3月と4月のわずか2カ月間で2206万人もの労働者が職を失ったことを考えると、米労働市場の回復は未だ道半ばだと言えます。
【平均時給(前年同月比)】
平均時給は前年同月比で予想+4.5%に対して、結果+4.2%と予想を下回りました。また、前月の+5.3%から1.1%ポイント低下しました。
平均時給が前月の伸びから鈍化したことは、労働市場にとって良い兆候だと言えます。なぜなら新型コロナウイルスによる打撃を最も受けたセクターが、比較的賃金の安いサービス業ですから、平均時給の伸びが鈍化しているということは、彼らが職場に復帰し始めていることを示唆しているからです。
【サービス部門】
実際、賃金が低いことで知られている「レジャー・娯楽」は、28万人増だったほか、前月も38万4000人増と、速報値の35万5000人増から2万9000人分が上方修正されるなど好調でした。
また、「レジャー・娯楽」は2020年3月と4月のわずか2カ月間で、807万4000人分の職が失われた一方で、5月以降の11カ月間において、未だ495万4000人分の雇用しか取り戻せていませんから、まだ回復の余地は十分残っていると言えそうです。
一方で、小売業は2020年3月と4月の2カ月間で、234万5000人分の職が失われた一方で、5月以降の11カ月間において207万7000人増と89%回復していますから、「レジャー・娯楽」に比べて緩やかな増加ペースになると思います。
【商品生産部門】
商品生産部門は「建設」が11万人増と、前月の5万6000人減から大幅に増加しました。前月は全米を寒波が襲ったことが影響しましたから、今月はその影響の反動が要因だと考えられます。
また、製造業は5万3000人増と、2020年9月以来、半年ぶりの伸びを示すなど好調でした。
今後の焦点は、集団免疫達成による感染危機の収束と、それに伴い労働参加率が回復するかどうかになります。とりわけ、女性の職場復帰が進むかどうかが注目されます。
しかし、景気回復が急速に進めば、それは株式市場にとってマイナス材料になります。なぜ、景気回復が株式市場にとってマイナス材料になるのか?というと、それは長期金利の上昇と量的緩和の縮小が株式市場のマイナス材料になるからです。
実際、予想を上回る雇用統計を受けて、米10年債利回りは1.714%と、前日比で+2.1%(+0.035%pt)上昇しました。仮に米10年債利回りの上昇が一段と加速すれば、高PER株の多いハイパーグロース株は売られやすくなるので注意する必要があります。
また、景気回復が急速に進めば、FRBによる量的緩和の縮小も意識され始めると思います。
FRBは量的緩和を縮小するタイミングについて、市場にショックを与えないように「前もってかなり先にアナウンスする」としていますから、このペースで労働市場が回復すれば、おそらく9月に予定されているFOMCで量的緩和縮小がアナウンスされると思います。
前もってかなり先にアナウンスすることで、市場に与える影響が、どれくらい和らぐかはわかりませんが、多少の調整局面は避けられないと思いますから、今回のような好調な雇用統計が何度も続けば、株式市場にとってマイナス材料になる可能性があります。
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