バフェット太郎です。

労働省が発表した4月のCPI(消費者物価指数)は予想3.6%に対して、結果4.2%と予想を大幅に上回ったほか、2008年9月以来の伸び率となりました。

また、価格変動の激しい食料品やエネルギーを除いたコアCPIも予想2.3%に対して、結果3.0%と予想を上回りました。

インフレが加速している背景には、一年前のロックダウン(都市封鎖)が挙げられます。当時、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって、ロックダウンが発令されたことで消費需要が消滅し、デフレ化が加速しました。

また、原油価格が急騰したこともインフレを上振れさせた要因の一つとして挙げられます。

いずれにせよ、インフレは一時的であり、これはFRBがかねてから主張しているシナリオと変わりありません。ちなみに、FRBは3月以降インフレが加速する一方、年後半にかけて鈍化し始めると予想しています。これは、昨年の後半からインフレがやや持ち直したことが理由として挙げられます。

そのため、ハイテク株の多いナスダック総合指数をはじめ、株式市場は一時急落する場面がありましたが、これは一時的な調整局面と見られています。つまり、インフレの加速について、多くの投資家はそれほど懸念していないということです。

しかし、言い換えれば予想に反してインフレが加速し続けた場合、市場は大きく混乱することが予想されます。

たとえば、パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントのCEOで著名投資家のビル・アックマンは、「FRBは確実に利上げをしなければならないと思う」とし、「現在の金利水準では、景気が過熱するリスクが極めて高い」と警鐘を鳴らしました。

ただし、FRBが政策スタンスを見直す公算は小さいです。なぜなら、FRBは昨年、30年続いたインフレ率の低下を受けて、金利設定戦略を見直したばかりだからです。

従来の金利設定戦略は、インフレがFRBの目標とする2%を大きく上振れしないように、先手を打って、2%に到達する前から利上げをすることで、インフレを抑制してきました。

しかし、昨年発表された新戦略は、長期的に2%の平均インフレ率を目指す方針に変更したのです。つまり、インフレ率が2%をやや上回っていてもただちに利上げせずに、インフレが加速するのを見守るということです。

そして、その新戦略を昨年打ち出したばかりということは、すぐに戦略を変更することはできないということを意味します。なぜなら、ここで戦略を二転三転させれば、もう誰もFRBの言うことを信用しなくなり、FRBは市場を誘導させることができなくなるからです。

こうしたことを理由に、FRBは仮に予想外にインフレの加速が持続しても、政策スタンスをすぐに変更することはできませんから、長期金利急騰によるハイテク株暴落のリスクが高まります。

そのため、FRBや投資家は、「インフレの加速は一時的であり、再び鈍化する」というかねてからのシナリオ通りに世の中が動くことを願うほかないのです。

グッドラック。

【無料】米国高配当株レポートの「オックスフォードインカムレター」はこちらからどうぞ

【無料】米国優良株レポートの「モトリーフール」はこちらからどうぞ

SPONSORED LINK