バフェット太郎です。
日本経済新聞によると、仮想通貨市場の暴落を受けて韓国の若者たちが大損しているそうです。
【ビットコイン:日足】

これまでのビットコインの推移を振り返ると、昨年3月のコロナショックによって一時3949ドルまで値下がりする場面がありましたが、その後わずか一年で6万4900ドルと16倍も値上がりしました。
こうした強気相場を背景に、韓国では仮想通貨への投機がブームになっていて、大学生の中には貯金を仮想通貨につぎ込んだ人が大勢いるそうです。
ちなみに、韓国は全世界の仮想通貨取引のおよそ1割を占めるなど投機が過熱していて、ビットコインに至っては価格が海外よりも20%も高いなど「キムチ・プレミアム」がついているそうです。
こうしたプレミアムは投機熱が冷めれば無くなってしまいますから、割高に取得した分ブームが去った後の打撃が大きくなります。そのため、こうしたプレミアムを回避するために、韓国の若者たちはビットコインへの投資を避けて、正体不明のものを含むアルトコインに投資しているそうです。
これは、プレミアムを回避する代償としてより大きなリスクを背負うことを意味しますから、本末転倒と言えますが、仮想通貨への投機がブームになって、友達やSNSのフォロワーが大儲けしている現実を目の当たりにすると、誰もリスクなど気にしなくなってしまうのです。
ちなみに、これは何も韓国の若者たちだけに言えることではなくて、昨今のSPACブームで割高なハイパーグロース株に集中投資をして大損した、日本や米国の個人投資家たちにも同じことが言えます。
★★★
さて、韓国のアルバイト求人サイト「アルバ天国」が発表した調査によると、大学生のうち53%が仮想通貨の投資に肯定的で、実際に投資している学生は24%と、およそ4人に1人が仮想通貨に投資しているそうです。
また、仮想通貨に肯定的な理由として最も多かったのが、「高い収益率」で33%、そして「今の階層を抜け出す最後の機会」との回答も15%ありました。
つまり、多くの若者は、「人生一発逆転」の数少ない手段として、仮想通貨を利用しているというわけです。
そもそも韓国社会は、厳しい競争を勝ち抜いてようやく就職できたとしても、不動産価格が高騰しているせいで給料だけでは家を買うことができないのです。そのため、結婚して家を買い、子供を育てるといった親の世代では当たり前のことが、今の若者たちは出来なくなってしまっているのです。
とりわけ文政権の失政によって、格差拡大が深刻化しています。
たとえば、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、2020年までに最低賃金を1万ウォン(約1000円)に引き上げるとの公約を掲げて、2017年に大統領に就任しました。
当時の最低賃金は6470ウォンでしたから、公約を実現するためには毎年約16%も引き上げなければなりません。そして、最低賃金は2018年に16.4%、2019年に10.9%上昇して8350ウォンに達しました。
しかし、これによって何が起こったのか?というと、自営業者が雇用に消極的になった結果、失業者が急増して格差がますます拡大してしまったのです。
たとえば、韓国の自営業の割合は全体の約25%と、米国の6%、日本の10%を大きく上回っていますから、先進各国と比べて自営業者が労働市場に与える影響は大きいです。 そして、自営業者の大半は、小さな小売店や飲食店などを家族で経営しているので、最低賃金の引き上げはそれほど問題にならないように思えます。しかし、家族経営でも人手が足らないなどで数人のアルバイトを雇ったりする場合があるので、最低賃金の上昇は労働コストの増大に直結して、経営を圧迫してしまいます。
また、アルバイトの賃金を引き上げても生産性が向上するわけではありませんから、競争市場で生き残るためには、アルバイトを雇わずに家族だけでお店を回すしかないのです。
そのため、自営業に雇われていたアルバイトやパートで働いていた人たちは職を失ってしまったのです。
つまり、「最低賃金の引き上げ」は、世帯主の賃金を引き上げることができたかもしれませんが、パートナーが失業してしまうことで、世帯収入が減ってしまい、格差拡大が一段と深刻化してしまうなんていう皮肉な結果になってしまったというわけです。
★★★
こうした厳しい競争社会や格差拡大に伴う失業率の上昇、そして不動産価格の高騰に伴って、韓国の若者たちは自分たちの未来を憂いていて、今の階層から必死に抜け出そうとして仮想通貨の値上がりに賭けています。
しかし、仮想通貨は若者の未来を救ったり、人生一発逆転のためのツールではありません。
あくまで、「電子データのみでやりとりされる通貨」であって、格差や貧困といった社会問題を解決してくれる魔法の通貨ではないのです。
そして、ビットコインはボラティリティ(価格変動率)が高いことから、ポートフォリオに占める割合は1%~3%以内に抑えるべきで、韓国の若者のように貯金のすべてをつぎ込んだり、借金をしてまで投資をすれば、人生を棒に振ってしまいかねません。
では、韓国の若者はどうすれば今の階層から抜け出すことができるのか?というと、それは二つしかありません。
1つ目は、親世代のような暮らしは諦めて、少ない収入でも勤勉に働いて、倹約に努めて、残ったお金でS&P500インデックスファンドに積立投資をするなど、時間をかけて堅実な運用を続けることです。
そして2つ目は、「貧しいけれど、いくらかマシな未来」と引き換えに、よくわからないアルトコインに全財産をつぎ込んで、一発逆転を狙うことです。
1つ目は貧しいけれど未来に希望はありますが、2つ目は失敗すれば未来に希望もありません。
グッドラック。
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日本経済新聞によると、仮想通貨市場の暴落を受けて韓国の若者たちが大損しているそうです。
【ビットコイン:日足】

これまでのビットコインの推移を振り返ると、昨年3月のコロナショックによって一時3949ドルまで値下がりする場面がありましたが、その後わずか一年で6万4900ドルと16倍も値上がりしました。
こうした強気相場を背景に、韓国では仮想通貨への投機がブームになっていて、大学生の中には貯金を仮想通貨につぎ込んだ人が大勢いるそうです。
ちなみに、韓国は全世界の仮想通貨取引のおよそ1割を占めるなど投機が過熱していて、ビットコインに至っては価格が海外よりも20%も高いなど「キムチ・プレミアム」がついているそうです。
こうしたプレミアムは投機熱が冷めれば無くなってしまいますから、割高に取得した分ブームが去った後の打撃が大きくなります。そのため、こうしたプレミアムを回避するために、韓国の若者たちはビットコインへの投資を避けて、正体不明のものを含むアルトコインに投資しているそうです。
これは、プレミアムを回避する代償としてより大きなリスクを背負うことを意味しますから、本末転倒と言えますが、仮想通貨への投機がブームになって、友達やSNSのフォロワーが大儲けしている現実を目の当たりにすると、誰もリスクなど気にしなくなってしまうのです。
ちなみに、これは何も韓国の若者たちだけに言えることではなくて、昨今のSPACブームで割高なハイパーグロース株に集中投資をして大損した、日本や米国の個人投資家たちにも同じことが言えます。
★★★
さて、韓国のアルバイト求人サイト「アルバ天国」が発表した調査によると、大学生のうち53%が仮想通貨の投資に肯定的で、実際に投資している学生は24%と、およそ4人に1人が仮想通貨に投資しているそうです。
また、仮想通貨に肯定的な理由として最も多かったのが、「高い収益率」で33%、そして「今の階層を抜け出す最後の機会」との回答も15%ありました。
つまり、多くの若者は、「人生一発逆転」の数少ない手段として、仮想通貨を利用しているというわけです。
そもそも韓国社会は、厳しい競争を勝ち抜いてようやく就職できたとしても、不動産価格が高騰しているせいで給料だけでは家を買うことができないのです。そのため、結婚して家を買い、子供を育てるといった親の世代では当たり前のことが、今の若者たちは出来なくなってしまっているのです。
とりわけ文政権の失政によって、格差拡大が深刻化しています。
たとえば、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、2020年までに最低賃金を1万ウォン(約1000円)に引き上げるとの公約を掲げて、2017年に大統領に就任しました。
当時の最低賃金は6470ウォンでしたから、公約を実現するためには毎年約16%も引き上げなければなりません。そして、最低賃金は2018年に16.4%、2019年に10.9%上昇して8350ウォンに達しました。
しかし、これによって何が起こったのか?というと、自営業者が雇用に消極的になった結果、失業者が急増して格差がますます拡大してしまったのです。
たとえば、韓国の自営業の割合は全体の約25%と、米国の6%、日本の10%を大きく上回っていますから、先進各国と比べて自営業者が労働市場に与える影響は大きいです。 そして、自営業者の大半は、小さな小売店や飲食店などを家族で経営しているので、最低賃金の引き上げはそれほど問題にならないように思えます。しかし、家族経営でも人手が足らないなどで数人のアルバイトを雇ったりする場合があるので、最低賃金の上昇は労働コストの増大に直結して、経営を圧迫してしまいます。
また、アルバイトの賃金を引き上げても生産性が向上するわけではありませんから、競争市場で生き残るためには、アルバイトを雇わずに家族だけでお店を回すしかないのです。
そのため、自営業に雇われていたアルバイトやパートで働いていた人たちは職を失ってしまったのです。
つまり、「最低賃金の引き上げ」は、世帯主の賃金を引き上げることができたかもしれませんが、パートナーが失業してしまうことで、世帯収入が減ってしまい、格差拡大が一段と深刻化してしまうなんていう皮肉な結果になってしまったというわけです。
★★★
こうした厳しい競争社会や格差拡大に伴う失業率の上昇、そして不動産価格の高騰に伴って、韓国の若者たちは自分たちの未来を憂いていて、今の階層から必死に抜け出そうとして仮想通貨の値上がりに賭けています。
しかし、仮想通貨は若者の未来を救ったり、人生一発逆転のためのツールではありません。
あくまで、「電子データのみでやりとりされる通貨」であって、格差や貧困といった社会問題を解決してくれる魔法の通貨ではないのです。
そして、ビットコインはボラティリティ(価格変動率)が高いことから、ポートフォリオに占める割合は1%~3%以内に抑えるべきで、韓国の若者のように貯金のすべてをつぎ込んだり、借金をしてまで投資をすれば、人生を棒に振ってしまいかねません。
では、韓国の若者はどうすれば今の階層から抜け出すことができるのか?というと、それは二つしかありません。
1つ目は、親世代のような暮らしは諦めて、少ない収入でも勤勉に働いて、倹約に努めて、残ったお金でS&P500インデックスファンドに積立投資をするなど、時間をかけて堅実な運用を続けることです。
そして2つ目は、「貧しいけれど、いくらかマシな未来」と引き換えに、よくわからないアルトコインに全財産をつぎ込んで、一発逆転を狙うことです。
1つ目は貧しいけれど未来に希望はありますが、2つ目は失敗すれば未来に希望もありません。
グッドラック。
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