バフェット太郎です。

サウジやロシアなど主要産油24カ国で構成される「OPECプラス」で、協調減産の縮小幅を巡る協議が決裂してしまったことで、原油先物価格が一時1バレル77ドルと約6年7カ月ぶりの高値をつけました。

昨年4月、「OPECプラス」は原油価格が大暴落したことを受けて過去最大規模の協調減産を決定し、原油供給量を抑制することで意図的に原油価格を押し上げてきました。

その結果、原油価格は減産をこれ以上必要としない水準まで回復したことで、段階的に協調減産幅を縮小していたのですが、8月以降の縮小幅については協議が難航していました。

たとえば、サウジやロシアなどは2022年4月まで日量40万バレルずつ(協調減産幅を)縮小するとした枠組みについて、2022年末まで延長したいと考えていますが、UAEはこれに難色を示していて、来年8月以降一段の増産を目指しています。

こうした中で世界最大の産油国である米国では、バイデン政権によるシェール開発の規制強化によって将来の供給懸念が強まっているほか、シェール企業も財務体質の改善を優先させていることから投資を抑制させています。

その一方で、コロナワクチンの普及に伴う経済活動再開を受けてガソリン需要は爆増していますから、需給逼迫による原油高が加速しているというわけです。

【原油先物価格:月足】
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原油先物価格の月足チャートを眺めると、50カ月移動平均線を上にブレイクアウトしたことが確認できます。そのため、将来の供給懸念が強まれば、原油価格は100ドルをターゲットに一段と上昇する可能性があります。

ただし、協議の決裂はかならずしも原油価格の追い風にはなりません。

なぜなら、協議がまとまらずに減産合意の期限である2022年5月を迎えれば、それ以降OPECプラスの裏切り合いが始まるからです。

たとえば、原油価格が高騰する中でUAEだけが増産に踏み切ればUAEの税収は爆増し、減産を続けている国々の税収は増えません。すると、他国もUAEに追随するかたちで増産に走る公算が大きいのです。

そして各国が一世に増産に走れば、供給過多によって原油価格が再び暴落しかねません。

こうしたことからOPECの盟主であるサウジは、これまで他国よりも厳しい減産を実行するなど身を切ることで他国に協力を呼び掛けてきましたが、長引くコロナ禍を背景に各国の財政状況も厳しくなっていることを考えると、減産を続けるには限界があることもわかります。

そのため、今後はUAEが2022年4月まで日量40万バレルずつ(協調減産幅を)縮小するとした枠組みについて、2022年末まで延長することに合意するかどうかが注目されます。

【エクソン・モービル(XOM):週足】
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エクソン・モービルの週足チャートを眺めると、昨年10月末の29.44ドルを底値に一時64.93ドルと2.2倍に上昇しています。

当時、多くの投資家が「爆損モービル」と悲観的になっていたことを考えると、優良株というのはそうした悲観の中で買い向かうものだということがわかります。

グッドラック。

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