バフェット太郎です。

先日紹介した『株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす 』ですが、品薄状態のためプレミアムがついていて、定価2200円+税に対し、アマゾン最安値が5467円~(配送料+257円)となっています。これでは買う気にならないのも無理ありません。そんな人のために、少しだけ重要だと思う個所を書きます。

先日、この本を紹介したエントリーで、「高配当株よりも積極的に自社株買いをするバイバック銘柄の方が良いのではと疑問に思う投資家もいると思います。そのあたりのことも第10章(p172)で述べられているので投資戦略の参考にしてみてください。」と書きましたが、本書では次のように記述されています。

p172自社株買い戻し

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(引用はじめ)近年、留保利益で配当を支払う代わりに、市場で自社株を買い戻す手法がとられるようになった。上述のとおり、最近の税制改定で配当税がキャピタルゲイン税とおなじ水準に引き下げられたとはいえ、投資家リターンを引き上げる手法として、自社株買い戻しが税制上有利であることに変わりはない。留保利益で配当を支払う代わりに自社株を買い戻せば、株価が押し上げられる。だがこの値上がり益は、株式を実際に売却しないかぎり課税対象とならない。結果的に、投資家は税金の支払いを先送りでき、非課税の財団なら、完全に回避できる場合もある。

おなじ金額を充てるなら、配当支払いも自社株購入もおなじように下落相場ではプロテクターとなり、上昇相場ではリターンのアクセルとなる。株価が下がる局面で自社株買いを実施すれば、買い戻す株式数もしだいに増えるからだ。そうなれば、発効済み株式数が圧縮され、1株当たりの利益(EPS)が押し上げられ、株価も押し上げられる。配当再投資の場合は、保有株数を積み増すことでリターンが押し上げられる。自社株買いでは、EPSの上昇を通じて株価が押し上げられる。いずれの場合も買い支えられるため、下落相場のプロテクターが働く。

こう考える向きもあるだろう。自社株買い戻しは、配当再投資とおなじくらい効果が目覚ましく、しいかもキャピタルゲイン税繰り延べというおまけまでつく。だが、そうはならない場合も多い。過去のケースをみるかぎり、経営陣が約束を守るかどうかの点で、自社株買いは配当支払いほどあてにならなにことが多い。配当の場合、いったん金額を決めれば、経営陣はこれを引き下げまいとする。減配は会社の発する赤信号と受け止められ、発表と同時に、株価が急落するのがふつうだからだ。

対照的に、自社株買い戻しは、経営陣の意向しだいで実施される面が強い。たしかに経営陣が買い戻し計画を発表すれば、株価はこれを好材料として上昇する。だが株主はその後、やきもきしながら、計画が実行されるかどうか監視しなければならない。複数の調査結果からみて、自社株買い戻しは、中止される確率がかなり高い。多くは、経営陣が別に留保利益の使い道をみつけたためで、それは株主利益につながるものばかりではない。

したがって、理屈の上では、自社株買いは配当再投資とおなじ仕組みでリターンを押し上げるはずだが、実際には、自社株買いが株主リターンを押し上げる役割を安定して果たすことはめったにない。どちらが確実かといえば、投資家が経営陣から還元される配当を使って、自分で株式を買い増す方法だろう。経営陣がわざわざ間に立って、投資家が自分でできる投資を代行するまでもない。(引用おわり)

★★★

ジェレミー・シーゲルは確実性の低さから、積極的に自社株買いをする株への投資よりも、確実に配当を支払う連続増配株への投資を推奨しています。

もちろん、確実性が高く、積極的に自社株買いをする銘柄もあります。ダウ採用銘柄ではトラベラーズ(TRV)が積極的かつ持続的に自社株買いをすることで有名です。その他にはアメリカン・エキスプレス(AXP)、IBM、エクソン・モービル(XOM)などがあります。ただし、XOMは今期の自社株買い規模は0に等しく、一方で配当は増配していますから、配当の確実性を裏付けることになりました。


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