バフェット太郎です。

ウォールストリートジャーナルに『フィデリティ運用担当者、市場上回るコツ』との記事。

フィデリティ・ロー・プライスト・ストック・ファンド(FLPSX)を率いるジョエル・ティリンガスト氏は、26年前から同ファンドを担当し、以来年率リターンは13.7%とS&P500指数の9.3%を大きく上回っています。

ティリンガスト氏は900もの銘柄を保有し、さらに、現在保有していた、保有を考えたが買わなかった、あるいは保有を予定しているものを含む、全銘柄の詳細を思いだえる百科事典的記憶力の持ち主なんだとか。

ファンドの基本原則は、35ドル未満の銘柄へのみ投資するとのことで、その理由はウォール街では、株価が安い銘柄はあまりカバーされていないからとのこと。35ドルはNY証券取引所上場銘柄の平均株価より少し上で、中央値は18ドルです。

35ドル未満で選好する具体的な銘柄として健康関連製品販売会社のGNCホールディングス(GNC)が挙げられています。GNCは栄養補助食品の専門小売業者で、一定の顧客が付いているとのこと。重量挙げの選手がサプリメントをスーパーやドラッグストアで買うようになるとは思えないことや、同社の最高経営責任者は、自動車専門部品・アクセサリー小売店のオートゾーン(AZO)や栄養補助食品販売会社のビタミン・ショップ(VSI)で実績があり、経営手腕に定評があることから、同社に投資しているとのこと。

その他にも電子計測サービス会社のキーサイト・テクノロジーズ(KEYS)や家庭用品・インテリア用品小売りのベッド・バス・アンド・ビヨンド(BBBY)を選好しています。

KEYSは参入障壁が高く、PERは9倍、バランスシートも良く、キャッシュの創出状況も良いです。また、BBBYは膨大なキャッシュフローを創出していて、自社株買いにも積極的です。2011年2月期から15年2月期にかけて27%も自社株が減少していることから、EPSは2006年2月期から15年2月期にかけて2.64倍と純利益の1.67倍と伸び率を大幅に上回っています。
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BBBYの業績です。各種右肩上がりに拡大しています。
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BBBYの各種キャッシュフローです。このグラフからわかることは、まず、営業CFが右肩上がりで順調に拡大していることです。営業CFは本業の儲けを表していますから、例えば、資産の売却から得た利益など、見せかけの利益に騙されたりする心配はありません。

次に、投資CFですが、そもそも投資CFとは稼ぐためにどれだけの投資が必要かという物差しですが、横ばいで推移していることに加えて、多くの投資を必要としていないことがわかります。結果的にフリーCFが多くなっていることがわかります。反対に投資CFの多い会社は、営業利益率が高くても毎年多額の投資CFが必要になるため、フリーCFが増えず、結果的に自社株買いや配当に消極的な場合があるので気を付けなければなりません。

フリーCF=(営業CF-投資CF)で求められます。フリーCFとは会社が自由に使えるお金を意味しますから、投資先候補がフリーCFをしっかり確保できている企業かどうかを確認することは、投資家としての基本です。BBBYの場合はしっかり確保できています。

では、そのフリーCFの使い道ですが、BBBYは積極的に自社株買いに振り分けている一方、配当金はありません。自社株買いをすることで、投資家は無駄な税金を支払わずにすみますから、配当再投資よりもリターンは高くなりやすいです。しかし、持続的な自社株買いが見込めるかどうかをチェックする必要はあります。

現時点で言えば、安心して良い投資先で、バイバック(自社株買い)銘柄としては魅力的な銘柄です。PERは9倍台とバリュエーションも魅力的です。
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EPS(一株当たりの利益)、BPS(一株当たりの純資産)、FCFPS(一株当たりのフリーCF)の各種推移です。自社株買いを積極的にしていることから、伸び率も高いです。日本株にはこのように自社株買いに特化した個性的な銘柄はなく、BBBYのような銘柄に投資することは米国株醍醐味です。

米国会社四季報2015秋冬号 2015年 10/21 号 [雑誌]: 週刊東洋経済 増刊には、BBBYも掲載されています。各種データを詳細に調べたいときはモーニングスター を利用することをお勧めします。
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