バフェット太郎です。

あなたが保有している銘柄に、例えばアマゾン(AMZN)があるとして、あなたは二年前にAMZNの株を長期投資を前提に買い、今まで売らずに放置していたとします。そしてこの二年でAMZNの株価はどんどん上がり、買ったときは300ドルだったのに、いまでは700ドルになっています。ある日、あなたの前に「ミスター・マーケット」が現れて、その株を700ドルで売ってほしいと言ってきました。でもあなたは700ドルで売ろうとは考えていないし、新たに700ドルで買い増そうとも思いません。

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この状況下であなたは二つの矛盾した考え方をもっていることになります。
一、「長期的にみれば700ドル以上の価値があるから売らない。」
二、「現在の株価は上がりすぎたから、これ以上買い増さない。」

経済学者のダニエル・カーネマンによれば、このような心理的現象を「保有効果」と言って、保有しているAMZNの株の価値は、保有していないAMZNの株の価値より高いという矛盾を説明しています。

この保有効果について、コーネル大学がおもしろい実験をしました。

まず、クラスの学生たちを無造作に二つのグループに分けます。Aグループにはコーネル大学のロゴの入ったマグカップを配り、Bグループには何も配りませんでした。そしてその場でオークションをしてもらうのです。

この実験で知りたいことは、以下の二つのことです。
一、Aグループの学生たちはロゴ入りマグカップをいくらなら売っても良いと考えるのか。
二、Bグループの学生たちはロゴ入りマグカップをいくらなら買っても良いと考えるのか、です。

この実験結果は以下の通りになりました。
一、Aグループの学生たちはロゴ入りマグカップを平均5.25ドル以下では売ろうとしませんでした。
二、Bグループの学生たちはロゴ入りマグカップを平均2.75ドル以上では買おうとしませんでした。

この実験結果でわかったことは、人は何かの所有者になったというだけで、そのものの価値が、それを持たない人が考える価値のおよそ二倍にも跳ね上がるということです。

こうした「保有効果」はビジネスの現場でも使われています。例えば、スマホや自動車を買い替える際、いま使ってるものを高額で買い取ってくれるサービスがあります。これは、スマホや自動車などの高額買い取りは、新製品を割引価格で販売するよりもずっと効果が高いとされているからです。人は自分がいま保有しているモノの価値を過大評価し、まだ手に入れていない新製品の価値を過小評価しているというわけです。

株式投資に話を戻せば、保有株の利食いや損切は、それだけ精神的負担が大きく難しいということがわかります。それ故、株式投資における売買は事前に決めておいたルールや規律を守って売買することがお勧めです。バフェット太郎は長期投資を前提にしているので「売る」という選択肢こそありませんが、事前に決めておいた規律に基づいて、構成比率下位銘柄がどんな値段でも買い増しています。
(参考文献:経済は感情で動く : はじめての行動経済学

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