バフェット太郎です。

S&P500指数のPERを眺めると歴史的な高水準であることが確認できます。これは株式市場の暴落のサインなのでしょうか。
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そもそもPERとは、一株当たりの利益に対して何倍の金額で取引されているかを示し、株価が割高か割安かを表す指標です。例えば、EPS10ドルに対して株価が200ドルならPERは20倍です。一般的には12~20倍までが適正水準とされますがセクターや時期にもよるので、万能な指標というわけではありません。

通常、金融危機前の好況時においてPERが高くなる、つまり割高になると考えがちですが、実際はそうではありません。株価暴落の直前というのは嵐の前の静けさのようにPERは適正水準だったりするものです。なぜそうなるのかと言えば、好況による好業績を株価はそれ以上楽観できないからです。しかし、同時に業績の悪化も織り込み切れません。

例えば、平時においてEPS10ドル、予想PER15倍、株価150ドルの銘柄があるとします。この銘柄は好業績によりEPSが20ドルまで上がったとします。しかし、投資家たちは好業績はそう長くは続かないとして、予想PERを14倍と慎重に取引していたとします。それでも株価は240ドルです。ある日突然、業績が悪化して業績予想を下方修正しなくてはならなくなりました。予想EPSは2ドルと平時のEPSを80%下回ったとします。すると投資家たちはあわてて株を手放します。株価はたった一日で50%も暴落して120ドルになってしまいました。さて、予想PERは何倍でしょうか?

そうです、予想PERは60倍です。つまり暴落前の予想PER14倍と比較して高水準になるわけです。

チャートのPERをもう一度眺めると、金融危機前のPERは20倍前後でした。しかし金融危機後のPERが65倍にも跳ね上がっているのは、企業が相次いで業績を悪化させたためなのです。

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さて、現在はどうでしょうか。PER24倍という水準は割高なのでしょうか、あるいは割高なのでしょうか。セクター別でみるとエネルギー株のPERが50倍になっています。なぜ、エネルギー株が高PERで取引されているのかと言えば、原油安の影響で業績を悪化させているからです。また、セクターの中で最も低PERで取引されているのは金融株でPERは13倍程度です。金融株はFRBによる低金利政策により、全く稼げていません。FRBは金利を緩やかに引き上げていくという方針を示していますから、本格的に稼げるようになるのはまだまだ先の話になります。

まとめると、S&P500指数のPER24倍は、業績が悪化しているエネルギー株が押し上げているだけで割高とは言えません。加えて、FRBによる低金利政策により業績が低迷している金融株は割安な状態が続いています。

つまり、現在の株価水準はPER24倍でも割高とは言えず、むしろ割安な水準と言えるわけです。投資家はもう少し楽観的になるべきでしょう。

グッドラック。
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