バフェット太郎です。

市場の先行き不透明感が広がるいまだからこそ再読したい『市場リスク 暴落は必然か』を紹介します。

本書は市場のリスクとその対処法に書かれた本ですが、リーマンショック直前に発売されたことからトレンドにマッチした名著となりました。

著者のリチャード・ブックステーバー氏はMIT(マサチューセッツ工科大学)で経済学博士号を取得し、ソロモン・ブラザーズやモルガン・スタンレーで計量分析やリスク・マネジメントを担当しており、87年のブラックマンデーや98年のLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の破綻を間近で見てきました。

ブックステーバーが本書で述べていることを簡潔に表せば、「金融市場は複雑怪奇で」「規制を加えても事態を悪化させるだけだから」「リスクに慣れて!」ってことだ。でもリスク・マネジメントはしようね、と。

で、リスク・マネジメントなんだけど、ブックステーバーは従来のやり方は通用しないから、ゴキブリ式リスク・マネジメントをしようよと提案しています。従来のリスク・マネジメントって言うのは、証券化してリスク分散するっていう考え方で、例えばサブプライムローン問題というのは、過去に返済の延滞履歴があったような信用度の低い顧客に対して住宅ローンを組ませて、その負債を証券化して分散させるわけです。一見すると一つのリスクが複数に分散されているのだからリスク・マネジメントができているのではと考えてしまいがちですが、実際はそうして分散された証券化商品にレバレッジがかかって、複雑性が大きくなってしまっていたのです。つまり、全然リスク・マネジメントできてねーじゃんというわけです。で、結果的にサブプライムローン問題を発端としたリーマンショックが起きたわけです。

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ブックステーバーはそうした従来のやり方を改めて、ゴキブリ式リスクマネジメントを提唱してるわけです。

地球には様々な生物が生息していますが、予測不可能な環境下のなかで絶滅した種も多く存在します。そうしたなかで、なぜゴキブリは数億年も絶滅することなく生き延びることができたのでしょうか。

その最大の要因は、彼らの唯一の防御機構にあります。彼らは空気のわずかな揺らぎから瞬時に離れることで、捕食者から逃れることができる能力を持っています。そのため絶滅することなく種の保存に成功しているのです。

つまり、ゴキブリの防御機構と同じように、予測不可能な出来事が次々に起こることが避けられない金融市場では、「シンプルな金融商品と、少ないレバレッジ」がリスク・マネジメントの最適解というわけです。

グッドラック。
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(現時点でロープライスは1円なので長期投資家は絶対に読んでください。第10章の「ゴキブリとヘッジファンド」だけでも読む価値アリ。)