バフェット太郎です。

米小売り大手のウォルマート・ストアーズ(WMT)がネット通販の米新興企業ジェット・ドット・コム(以下ジェット)の買収に向けた交渉に入ったと報道されました。

ジェットは定額購入サイトダイパーズ・コムなどを運営するクィッジーを創業したマーク・ロア氏が立ち上げた会員制ネット通販会社です。クィッジーはベビー用品向けに最適化された配送システムを構築しており、一時WMTが買収するのではとの憶測が飛び交いましたが、当時それほどネット通販に力を入れていなかったため買収を見送り、結局アマゾン(AMZN)が買収しました。
 
マーク・ロア氏率いるジェットは50ドルの年会費を払えば商品を原価で買えるビジネスモデルとマーク・ロア氏のクィッジーでの実績が評価されたことで、開業からわずか1年で、ベンチャーキャピタルのニューエンタープライズ・アソシエイツや投資銀行大手のゴールドマンサックス(GM)、資産運用大手のフィデリティ・インベストメンツなどから5億ドルを超える資金を調達しました。

年会費を払えば安く買えるというコストコのような戦略は投資家から注目されましたが、2015年7月の運営開始からわずか三か月後の10月には会員制を廃止し、ビジネスモデルの転換を余儀なくされました。

有料会員制廃止の主な理由は会員数が伸びなかったためです。会員数が伸び悩んだ背景にはジェットの品揃えが理由に挙げられます。

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ジェットとアマゾン(AMZN)の両社で販売しているベストセラー商品のうち7割はジェットの方が安かったのですが、ジェットはAMZNの3割しか商品を取り扱っていないため、消費者にとったら欲しいものがないのです。

取り扱い品目が少ない理由は、高級ブランドなど値下げを好まない企業がジェットでの販売を控えたためです。

つまり、ジェットは消費者からは「商品が少ない」と失望され、仕入先からは「安売りするな」と嫌われてしまったというわけです。結局、取り扱い品目は少ないけれどAMZNより4~5%安いネット通販会社に落ち着きました。ちなみに赤字です。

WMTは、売上高が公表されていないことに加えて、長期間赤字が見込まれるジェットに対して30億ドルを支払う可能性があると噂されています。( 直近の評価額は14億ドル)。   

WMTとジェット買収後の相乗効果は未知数ですが、WMTの顧客より富裕で都会的なジェットの顧客層に近づけるほか、価格設定ソフトウエア、倉庫、顧客データへのアクセスも可能になります。

グッドラック。
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